人間は常に、あらゆる箇所に浮遊する細菌やウイルスの中で生活しています。除菌に対する危機管理を日常的に行いながら生活している健常者も多くいますが、一時的な除菌ですべての細菌に対処することは不可能といってもよいでしょう。
細菌は人の体に有害なものばかりではありません。中には体に無害なものや、逆に摂取してもよいといわれるものもあります。ただ、感染すると重篤な状態を引き起こす感染源になり得る細菌の対策には万全の状態を保たねばなりません。
○敗血症には効果的な薬の接種を
細菌やウイルス感染が進行し、血液に感染をしてしまうと、全身を流れる血液に乗って、たちまち症状は体の各部や臓器に広がります。全身に炎症反応が起こると体温の変化や白血球数の急増などがおこり、血圧の低下や心拍数低下がみられ、悪寒・震えや脱力が起こります。
●感染菌対処が最も効果的
もとより、創傷部分や体内のある個所が何かしら特定の細菌に感染し(菌血症)、それが全身に広がった状態のことを敗血症といいます。
そのため、効果的な治療法は、感染菌に効く抗生物質を速やかに接種するということになります。
血圧低下や悪寒、体温の上昇または低下という症状それぞれに対処し、感染症に効果のない薬剤の投与や接種をしていても、一時的な快方にとどまり、全身炎症をよくすることはできません。
それだけではなく、敗血症の状態を長引かせてさらに重篤化してしまうことにもつながります。
○敗血症の原因感染を予防する
体の特定箇所が感染している場合、その一部分だけが炎症反応を起こします。患部が熱を帯びたようにほてる、脈を打つようにうずく、滲出液量が増える・膿がたまる、という状態は、創傷部分に感染源が付着し治癒を遅らせてしまっている可能性が高いです。
創部分がきれいにならず、新しい組織細胞が育たないのは、壊死または感染症が起こっていることが原因だということを理解しておきましょう。
皮膚のバリア機能一切が失われている褥瘡では、処置中や洗浄前など時間の長短にかかわらず欠損箇所が空気にさらされるだけでも感染の可能性があります。
●感染を絶つ・感染症を見極める
まずは、患部が炎症を起こすような感染をしないように、患部と周辺を常に清潔にしておくことが非常に重要です。そして、看護や介護を行う人は、自分の手に付着している菌が原因となる場合もあることを意識し、処置やケアを行う看護側の清潔維持が大切です。
日常的な積み重ねが重篤な敗血症を予防することにつながります。
そして、感染したら原因をいち早く特定することが大切です。効果のある薬剤や抗生物質を投与接種し、体の中の感染源を根絶することが重要になります。