乾燥した皮膚は汗や尿・便などの排泄分また、衣類の接触などによって褥瘡(床ずれ)を悪化させてしまいがちです。特に高齢者の方や寝たきりの方は体温調整がうまくできないので注意が必要です。では、皮膚を乾燥させないためにも褥瘡にはどのような保湿剤が良いのでしょう。
■保湿剤の種類
入浴または洗浄後のやや湿った状態の皮膚は、保湿成分を含んだローションが浸透しやすいほか、軟膏やクリームが油膜で皮膚を保護する効果を高めます。
男性やスキンケアを行う習慣がない方は、保湿剤のべたつきに抵抗感を感じる方もいるのでべたつきが少ないローションタイプを選ぶとよいでしょう。
使用する保湿クリームは女性が使用するような市販のクリームでも代行できますが、褥瘡の進行具合によって医師の指示を仰ぎながら治療はすすめていきましょう。
■保湿もかねた外用薬とは
外用薬とは体の表面に付着させることによって部分的に治療効果が得られる薬剤の事をいいますが「主薬」と「基剤」からなります。その種類はさまざまでその外用薬の作用を理解して創の状態にみあった適切な使い方をする必要があります。
「主薬」は薬効成分のことをいい抗生物質やステロイドなどの薬剤の効果を発揮する部分ですが、「基剤」は薬効の効果はありません。しかし、薬効の効果がでるように薬剤を保持する役割をもっています。
創の治療には肌を乾燥させてはいけないことは前に述べましたが、保湿をするためにも「基剤」は重要な役割をもっています。
■基剤の特性
◎疎水性基剤(油脂性基剤)
鉱物性や動植物性の原料から精製された油分を主体にしたもので白色ワセリン、プラスチベース、単軟膏などがあります。浸出液は吸収せず、創面の保護効果が主な役割となり、浸出液が少ない場合には、油分で創を被うことから保湿効果をもたらします。
◎親水性基剤
親水性基剤は、乳剤性基剤や水溶性基剤、懸濁性基剤に区別されます。乳濁性基剤には水分の中に油分が含まれるか、油分の中に水分が含まれるかによって2つに分類されます。
【乳剤性基剤】
水分中に油分が含まれる基剤をいい、水分含有率が多く、油分の占める割合は比較的少なくなります。創への水分を補うことで湿潤を高めることに利用します。
【油中水型】
油分の中に水分が含まれる基剤をいい、水分含有率が少なく油分の占める割合は多くなります。創からの分泌物に対する機能は水性分泌物を水相に、油性分泌物を油相へ移行し、分泌分との混和性に優れています。
■まとめ
皮膚を健康な状態に保ち体内の水分が出ていくのを防ぐとともに、外部からの刺戟や異物から体を守る機能を維持することによって褥瘡の発生や進行を防ぐことになります。
ポイントは皮膚の清潔・保湿・保護です。入浴ができるなら入浴を行い、できないときは洗浄・清拭を行いましょう。その後に大切なのが保湿です。洗浄・清拭後にできるだけ早く保湿剤を塗布しましょう。
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