デブリードマンが必要な褥瘡の処置と痛みへのケア

褥瘡に対する処置は、2002年に褥瘡対策未実施減算が診療報酬に加えられたことで、以前より丁寧かつ慎重に行われるようになったと言えるでしょう。
褥瘡対策に関する診療計画書を策定し、規定の項目(6種)に一つ以上「(兆候)あり」または「できない」に合致する患者に対して、看護計画を立案するという流れの中、2013年には入院基本料に組み込まれる様になりました。


〇重度の褥瘡に行う処置 デブリードマンとは
真皮の組織に至らない初期段階(浅い)褥瘡は、外用薬と処置を繰り返すことで快方に向かわせることが可能です。
しかし、真皮を損傷し、筋肉や脂肪層にまで到達した褥瘡の場合、組織の形成に時間が掛かります。
また、感染や壊死のリスクが増します。
感染細胞や壊死細胞がある深い褥瘡は、まずそれらの悪化細胞を除去しなければなりません。そのために行う処置をデブリードマンと言います。
水圧や外用薬を使って壊死組織を溶解する方法から、電気メスの使用や切開を伴う外科的な処置に至るまで、様々な方法があります。

 
〇デブリードマンが必要な創か 判断基準と確認ポイント
褥瘡の程度は、患者ごとまた処置や介護を行う環境ごとに異なります。
レベル分けするための指標はありますが、必ずしもそれに合致するというわけではなく、患者の身体機能や栄養状態などの個体要因と、ケアの状態や介護力による環境要因が複雑に関係します。
褥瘡が起こる要因としては「ずれ」と「圧迫」に注目されがちですが、いくら必要な介護を行ったとしても、その体位や姿勢に違和感がある状態は、患者にとって好ましくありません。
また、わずかなしびれや圧迫感、押し付けた部分の痛みなど、患者しか実感しえない兆候もあります。
褥瘡発生要因となる項目を確認したうえで、本人の様子を見ながら声かけをすることが大切です。
意識レベルが低い人、反応が遅い患者にも声かけをしましょう。
デブリードマンを行うべき感染や化膿が起こると、発熱や倦怠、頻脈などの全身症状に至るケースもあります。
いつもの反応と同じかどうか、息の荒さや顔色、機嫌、表情なども情報として観察することを心がけましょう。

 
〇痛みに対するケアの重要性
創傷部の状態をよくするためには、患部の処置を行い、清潔に保つことが最も大切です。
しかし、その処置だけでなく、患者が感じる痛みへのケアも丁寧に行いましょう。
慢性疾患となる褥瘡は、常に組織が露呈した状態になるため、処置や洗浄に痛みを伴います。
数週間から数年にわたって処置を繰り返していても、(マヒなどの神経系疾患がない患者の処置は)わずかでも痛みを感じ、その痛みに慣れることはないでしょう。
痛みの感じ方にも、いろんな種類があります。感染・化膿した創は熱感や疼痛を伴います。
デブリードマンを行うときに、皮膚が切れる感覚と痛みがあることは想像のとおりです。
痛みを繰り返すことは、患者自身にとって大きなストレスとなります。
毎日繰り返す痛みを、少しでも軽減するように、博愛の心で処置を行うことを忘れない様にしましょう。