理学療法士は、病気・ケガ・脳卒中などで障がいや身体機能が低下した患者に対して、運動療法・温熱療法・電気刺激療法などの、リハビリテーション(以下リハビリと言う)を行う専門職です。今回は、リハビリで理学療法士が行う運動療法について考察してみましょう。
■運動療法とは?
理学療法士が行う運動療法は、基本動作能力の回復や維持を目的に行われるリハビリです。
例えば、日常生活動作(座る・立つ・歩く)などの基本的な動作が障がいなどによって、運動機能の低下をきたした際に、個人に応じてストレッチや関節可動域訓練・筋力強化訓練・バランス感覚の訓練・歩行訓練などを行います。
■理学療法士が行う運動療法
関節可動域訓練・筋力強化訓練等とは?
①関節可動域訓練
関節可動域訓練には利用者が自ら行う方法と、理学療法士が行う方法の二通りあります。麻痺のある側の手足は、動かさないと硬くなることで拘縮する(筋肉や腱が縮む)ことになります。
生活をする上で手上肢が拘縮すると、衣服の着脱が困難であったり、足(下肢)が拘縮すると歩行が困難になったりして、日常生活に不自由をきたします。
それを回復・維持するために手足を動かしたりする動作訓練をして、関節や筋肉の拘縮予防を目的に関節可動域の訓練を行います。
②筋力の強化(徒手抵抗練習)
筋力が弱くなっていて自分で十分に動かせない場合には、理学療法士が筋力の低下した体の部分(手や足)などに、直接手で抵抗や負荷を加えて行う筋力の強化(徒手抵抗練習)を介助しながら行います。
また、リハビリで筋力の改善がみられた場合には、重りを利用し負荷をかけての筋力強化練習に進んでいきます。筋力の増強練習は、各個人の筋力の状態に応じた練習法で行われます。
③バランス感覚の訓練
日常生活で姿勢を保持することは、基本動作でとても大切なことです。体位変換(寝返り)・座位保持などのバランス感覚をとるための筋力強化訓練を行います。
④歩行訓練
それぞれの個人の下肢(足)の運動機能やバランス感覚に応じて、理学療法士が介助をしながら、その人の機能の状態に合わせて、平行棒での歩行練習や杖歩行訓練(松葉杖・四点杖など)、階段昇降訓練を行います。
リハビリや自力での歩行が可能な場合には、歩行練習の指導を行います。また義肢装具士や医師と連携をとって、補装具作りの支援なども行います。
⑤痛みの軽減
ストレッチなどで、筋肉の緊張をほぐすことにより血流改善し、痛みの緩和や軽減をはかることで原因となっている要因の除去を促します。
■まとめ
いかがでしたか?今回は、理学療法士が行う運動療法についてみてきました。様々な理由で体に障がいをもって運動機能が失われたり、または心身機能が低下した場合、早めにリハビリ(急性期リハビリ)を行うことで、改善することが期待されますので、あきらめずに続けることが重要でしょう。