ケアマネ資格失効緩和はケアマネジャー不足の切り札となるか?

急速な少子高齢化社会に突入している日本において、介護業界の人材不足は深刻な問題となっています。特に介護職で一定の経験を持った人材のキヤリアパスであるケママネジャーの不足は深刻であり、今後どのようにその数を確保していくかという問題があります。

今回はその中でも、ケアマネ資格失効緩和策について考えてみたいと思います。

■ケアマネ資格失効緩和とは?

2018年1月、宮城県の地方紙で次のような記事が掲載されました。

【宮城県での独自救済方針 介護人材不足に配慮 要望を受け国が法改正へ】
宮城県では介護保険利用者のケアプランを作る介護支援専門員の登録を取り消す「消除要件」を独自に緩和する方針を固めました。国への要望が認められ、今春にも介護保険法が通常国会で改正される見通しです。

この緩和策は宮城県が「提案募集方式」という行政的仕組みを通じて国に働きかけたことがポイントとなっています。

■提案募集方式とはなにか?

提案募集方式とは地方に国の定めた行政的な仕組みを、地方自体の実情に即しその運用を、各自治体独自で行うことができるよう、地方自治改革の一環として生まれた制度です。

例えば宮城県の例では、ケアマネジャーの資格失効要件の緩和案を国へ要望し、ケアマネジャーの損失を防ぐことが、ケアマネジャー不足解決に向け大切なことであると判断したというわけです。

■ケアマネジャーの更新手続きの問題点

平成18年からケアマネジャーの資格は5年の更新制となりました。必要な研修を受けた上で申請するよう規定されています。これはより質の高い介護サービスを行うことを目的としたものであるため、その意義を認めることは当然であるといえます。

ただし、一方でこの制度の問題点は資格を失効した場合に対する、救済策が盛り込まれておらず、結果としてケアマネジャー不足の一因となっています。
通常、専門員証の交付を受けずにケアマネジャーの業務を行った場合、各県では登録を取り消さねばならず、処分日から5年間は業務資格を失うという厳しいペナルティーが科されるという現実があります。

■行政は介護サービス利用者保護を最優先するべきではないのか!?

今回のケースで、宮城県の県長寿社会政策課は「ケアマネジャーは1人当たり最大35人の利用者を抱え、登録が取り消されれば高齢者のサポートに大きな影響が出る。適切なケアを停滞させないためには規制緩和が必要だった」と、提案募集方式を利用したケアマネジャー損失対策の背景を説明しています。

こうやって、宮城県の事例を見ていくと、この問題は決して一都道府県だけに限定した問題ではないことが理解できます。これを機に、ケアマネジャー不足を補う方法の一つとして、資格失効要件の緩和が全国へ波及することを期待したいところです。