褥瘡が発生した患者や高齢者は、医療機関で適切な診療を受けながら早期に治癒をするのが理想です。しかし、褥瘡のみを治療する目的で、長期入院をするケースは非常に少なく、多くが在宅での経過措置を行っています。
褥瘡の悪化防止と予防を念頭においた在宅支援計画を、要介護者ごとに立案することが重要です。専門分野の意見を取り入れながら、本人が納得して続けられるプランを立てましょう。
〇在宅介護の能力を把握する
褥瘡を在宅でケアするには、本人が一人で傷と向き合うのではなく、家族や知人の協力が不可欠です。まずは、主に介護の担う人が褥瘡に関する知識を持っているか、主介護者の負担を和らげるための支援体制をどの程度受けられるかを検討する必要があります。
近年は、老老介護や一人住まいの人も多いため、周辺施設や福祉サービスを積極的に取り入れ、介護能力を維持する方法を考えねばなりません。
すでに褥瘡を発症している場合は、医療機関やケアマネージャーとの連携をとり、介護がしやすく、本人が快適に過ごせる環境を皆で検討しましょう。自治体のソーシャルワーカーに相談し、サービスを導入する際の費用面についてもあらかじめ考慮しておくことが大事です。
〇在宅で褥瘡治療する本人の意思を大切に
褥瘡の発生リスクがある人は、自立した生活を送ることが難しい場合がほとんどです。入浴介助や在宅診療以外のサービスを取り入れると、介助をする人の負担は大きく軽減します。しかし、利用するサービスが多くなればその分費用がかかり、日常生活のリズムも変わります。
在宅治療の良さは、過ごしやすい環境の中にいながら必要に応じてサービスや医療を受けられる点です。まずは、医師の指示を仰ぎ、福祉用具の導入からスタートして、小まめにプランを見直しながら段階的に必要なサービスを増やしていくと良いでしょう。
〇周辺で受けられる在宅支援サービス情報を把握する
住まう地域に、どれだけの在宅支援サービスがあるのか、情報収集をしっかりと行いましょう。最近では、医療保険や介護保険の適用を受けられる専門的サービスの種類と幅が広がってきました。公的機関が行うものの他に、配食や寝具(福祉用ベッドのレンタルや布団乾燥)などの身の回りの介助や、生活の質を向上させるサービス(在宅訪問散髪や外出介助)といった、民間団体や地域ぐるみで在宅ケアを行う取り組みも多くなっています。
適切な処置や医療を受け、快適な状態で日々を過ごしながら離床を促すきっかけを作ることも褥瘡予防につながります。
褥瘡の治療を行う医療機関以外にも目を向けて、福祉や介護サービスを上手に活用しましょう。