言語聴覚士の仕事の難しさとは?

リハビリ3職種と呼ばれる資格といえば理学療法士、作業療法士、言語聴覚士です。この中で言語聴覚士は他の2職種と比べて仕事内容や必要となるスキルが異なることをご存知でしょうか?

中には理学療法士または言語聴覚士の資格を取得して就職し、仕事をしていく中で言語聴覚士の必要性を感じて作業療法士の資格取得を目指す、つまりダブルライセンスを取得する人もおられるほどです。(理学療法士と作業療法士のダブルライセンスをもっている人はほとんどいません)
では、言語聴覚士の必要性とその難しさとは何なのでしょうか?

○言語聴覚士の需要が高まっているワケとは?

理学療法士や作業療法士は主に動作や行為(歩く、立つ、服を着る、箸を使う、仕事をする等)にアプローチをしていきます。
作業療法士は精神分野においての活動もありますが、基本的には仕事が重なる分野が多いです。
一方で言語聴覚士は「言葉」というコミュニケーション手段において最も重要といえる分野にアプローチをしていきます。

理学療法士や作業療法士とはやや異なる分野に係わり、専門的な知識やスキルが必要になるのです。
脳卒中などの後遺症による言語の障がいは「運動性の構音障がい」と「失語症」があります。
運動性の構音障がいとは、言葉の発声時に機能する舌や口唇、声帯などの麻痺により筋肉が働かない、あるいは協調性を失うことにより言語の障がいが現れます。

失語症とは、脳卒中などで主に脳の左半分にある言語野が障がいされることにより言語の障がいが現れます。
言葉の発声だけではなく、読解や書字にも障害が現れることもあります。
言語障がいに対するリハビリは脳卒中などの後に命の危険を脱した状態になれば言語訓練を開始します。
能力の回復段階は人それぞれで、病院を退院しても障がいが残ってしまう方も少なくありません。
最近では50~60歳代で脳卒中を発症される方も多く、社会復帰のためにリハビリを行うケースもよくあります。

○言葉というコミュニケーション獲得の難しさ

さまざまな原因で起こる言語の障がいですが、言語聴覚士が行うリハビリもさまざまなアプローチ方法があります。
ある程度のリハビリの指針があっても、「これが原因だから、このリハビリを続けたら絶対に治る」というような絶対的な手法は確立されていません。

正解がない分、言語聴覚士はさまざまな視点から原因を探り、創意工夫をこらしたリハビリを行っていきます。
ケースバイケースでリハビリの手法を変えていき、患者様に向き合うということは大きなやりがいを感じる部分ではありますが、その反面で非常に難しさを感じる部分でもあります。