何のために受講する?介護職員初任者研修の目的とは?

介護分野においての研修資格である介護職員初任者研修ですが、この研修を修了していなくても介護職員として働くことは可能です。
無資格でも業務を行うことができる介護職員の求人募集はどの地域でも多いため、給与や勤務形態に条件がなければ就職することは容易でしょう。
では、介護職員初任者研修は何のために受講するのでしょうか?

○介護職員初任者研修の目的
厚生労働省が発表している資料では、介護職員初任者研修の目的を以下のように説明しています。
“介護職員初任者研修は、今後訪問介護事業に従事しようとする者、若しくは在宅・施設を問わず最低限の知識・技術とそれらを適用する際の考え方のプロセスとして身につけ、職場の上司の指示を受けながら基本的な介護業務を実践できることを目的として行われるものです。”
今まで介護の分野に携わったことがなく、初めて介護職員として働く方がいきなり即戦力として仕事ができる訳ではありません。
とくに、身体介護においては正しい知識と技術がなければ利用者様の健康を損なってしまう危険もあります。
知識に関しては参考書などを読めばある程度得ることができますが、実践的な技術や臨床に対する考え方に関しては簡単に身につけることは難しいでしょう。
新人といえども現場に出ればひとりの介護職員とみなされます。
利用者様のためだけではなく、自分自身を守るためにも初任者研修を受講して最低限のスキルを身につけてから現場に出ることをおすすめします。

○これだけは知っておきたい!介護職員として働くための基礎知識
では、介護職員として働くためにどのような基礎知識をもっておくとよいのでしょうか?介護職員初任者研修の科目を元に解説をしていきます。

●「介護」とは何かを知ろう!
「介護とは利用者様ができないことや頼まれたことを代わりに行うこと」と思っていませんか?
従来の介護はこの様ないわゆる「お世話型の介護」でしたが、最近では「介護とは利用者様が自立した生活を送れるように支援すること」という「自立支援」の考え方が定着しつつあります。
つまり、利用者様が現在できないことを将来的に自分で出来る様に支援をすること、あるいは全ての行為を介助するのではなく、できること・できないことを見極めてできないことに関して介護することが「介護」の本質なのです。
介護職員初任者研修では「介護における尊厳の保持・自立支援」という科目で学んでいきます。

●これからの介護職員は、基礎的な医療知識も必要
高齢化が進んだ現在においては、様々な医療ニーズを抱えた利用者様がおられます。
つまり、介護の対象者は病気が完治していない(再発の可能性がある)利用者様がほとんどです。
介護職員はただ介護行為を行えばいいという訳ではなく、ある程度の医療知識を身につけ、利用者様の身体状態に異常があれば医師や看護師に報告しなくてはなりません。
特に夜勤では介護職員が緊急時の第一発見者になることも少なくありません。
介護職員初任者研修においても介護職員が最低限知っておくべき病気の理解について学んでいきます。