同じ姿勢を続けていると、体の重みによって圧迫された箇所が次第にしびれてきます。これは、正座をしたときに足がしびれるのと同じ原理です。圧迫によって血流が悪くなることで起こります。
このしびれは、ある意味では床ずれの前段階症状といえます。圧迫している状態を開放し、血流を戻せば、しばらくして症状も楽になるでしょう。
床ずれは、体のあらゆる部位で起こる可能性があります。寝た姿勢をとる時間が長い人、座った姿勢ですごすのが楽な人、右(または左)を向いて寝た姿勢が楽に感じる人…。このように、その人それぞれが楽に感じる姿勢をできるだけ妨げず、体を安心して預けられるために、低反発マットを活用しましょう。
〇床ずれ予防に必須 低反発マットとは
体を横たえた姿勢が長くなると、体の凹凸に沿って突出した部分がベッドに強く押し付けられ、圧迫されやすくなります。特に腰から臀部(仙骨部分)、後頭部、肩甲骨、かかと、といった骨が飛び出た箇所は体圧が大きくなります。
この集中した箇所にかかる体圧を和らげるように、反発力を低くしたマットが低反発マットです。押さえつけられる部分が自然とへこみ、マットレスの平面からの押し返し力を軽減します。
●低反発マットレスを選ぶには
低反発マットの素材はたくさんあります。日頃から体を起こして過ごす時間が長い人や、移動が可能であれば、特に高級な低反発マットを準備する必要はありません。 メンテナンスや清掃が楽に行える、衛生面を優先した寝具選びをしましょう。
一定時間、寝た姿勢や座った姿勢が続く人は、ウレタンなどの素材を用いた低反発マットがおすすめです。ある程度の耐久性があり、へたりが少ないものを選ぶようにしましょう。
長く使い続けると、頭部や腰部など、常に圧力がかかる部分の形が変わってしまいます。すると、低反発マットの性能を十分に活用する床ができず、結果として床ずれを起こしやすくなってしまいます。
〇生活スタイルに合った低反発マットを選ぶこと
毎日の介護や介助を楽にしながら、ケアを受ける患者の負担を減らすことを思えば、高級なウォーターマットレスなどを導入したくなる気持ちもわかります。
しかし、実際に使う人が楽だと感じるものを選ばなければ、患者自身の負担を増やしてしまいます。寝返りを打てる人が、やわらかめの保護力が高いマットレスを使うと、体が沈み込んでしまって寝返りが打てなくなるのです。
座位をとるときにずれ力が起こると、圧迫箇所と合まって床ずれの傷が広範囲になります。しっかり安定して体を任せることができる様にポジショニングし、圧迫とずれを解消して床ずれを予防しましょう。