高齢化社会を迎えるにあたり、地域包括ケアシステムの整備も進んできました。介護スタッフの重要性はますます高まっており、人材の確保や介護スタッフの知識や技術の向上が急務となっています。
身体に障がいがあっても住み慣れた地域で、出来るだけ長く生活ができるように訪問介護事業所においても介護スタッフの需要が高まっています。
訪問介護で勤務していくには資格が必要で、加えて入居サービス(高齢者向け住宅、老人保健施設、特別養護老人ホームなど)や通所サービス(デイサービス、デイケアなど)においても質の高い有資格者が必要とされています。
このような背景もあり、平成28年度以降の介護福祉士国家試験は実務者研修の修了と3年以上の実務経験が義務化されています。
○実務者研修とは?
この実務者研修とは介護職員初任者研修の上位の資格として位置付けられており、初任者研修よりも高度で幅広い知識や技術の習得を目的としています。
受験資格は特にありません。職務経験の有無や介護職員初任者研修を受講していなくても大丈夫です。受講機関によっても異なりますが、修了試験も基本的にはありませんので積極的に受講してみましょう。
○実務者研修でできる事
実務者研修を修了する事でどのような事が出来る様になるのでしょうか?
●介護福祉士の受験資格に必要
実務者研修は、介護福祉士国家試験を受験するための要件となっています。介護福祉士国家試験を受験するためにはいくつかの取得ルートがあり、養成施設や福祉系高校などに通学をしない【実務経験ルート】は2パターンあります。
①実務経験3年+実務者研修
②実務経験3年+介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修
社会人から介護福祉士を目指す場合、①ルートであれば実務者研修の受講が必須となります。
●サービス提供責任者になれる
サービス提供責任者とは訪問介護の事業所に配置しなければならない役職のことです(資格ではありません)。サービス提供責任者になるには、介護福祉士の資格取得または実務者研修の修了が必要です。
サービス提供責任者の主な仕事は介護支援専門員や介護スタッフとの調整業務などです。介護スタッフとして勤務するよりも給与アップを期待する事ができ、自身のキャリアアップにも繋がります。
●たん吸引や経管栄養を学ぶことができる
実務者研修を修了して、指定事業所内で実地研修を受けると、たん吸引や胃ろうなどの経管栄養といった「医療ケア」を現場で行うことができます。