皮膚の表皮が床ずれを起こして損傷した場合、創傷部分の感染予防を行わねばなりません。
浅い初期褥瘡であれば、体の自然治癒力に掛けて、軽度の処置や経過観察にとどまる場合もありますが、床ずれの程度にかかわらず、創部分を常に清潔な状態に保つことが、感染症予防に最も効果があります。
細菌を寄せ付けない、創部分に感染菌を長くとどまらせない処置を心がけましょう。
〇局部感染の処置方法
一般的には、外用薬を用いて抗菌を行い、創部分をドレッシング材で覆って感染を予防します。ドレッシング材の使用によって、外部の刺激から層を保護しながら、滲出液コントロールも可能になります。
●感染症を確認した床ずれと使用薬
軟膏やドレッシング材に、抗菌薬含入のものを使用すれば、傷の治りと感染予防が同時にできるのではないか、と思われがちです。
もちろん、局所の感染には、その傷に付着した感染源の働きを抑制する薬を用いることが多いですが、単純に継続して外用薬を使用するのではなく、傷の具合を見て、必要な抗菌薬を適切に使用しなければなりません。
●感染症が改善したら床ずれ回復のための薬を
治療の効果が表れてきて、感染した汚い創から赤く新鮮な肉芽細胞形成が整い始めたら、更に肉芽細胞を増やし、上皮の形成を促す効果がある外用薬に切り替えます。同じく、湿潤環境を整えるドレッシング材を使用しましょう。
〇全身感染症を起こした場合
体の一部が感染している状態を軽視してはいけません。特に床ずれは、外傷性急性の損傷ではなく、慢性的で皮下組織を破壊し深部に至る傷なので、いったん局所の感染症をおこすと、周辺組織が常に感染増幅していくリスクにさらされます。
一部の感染源は、周辺組織だけでなく、血流やリンパに侵入し、全身に運ばれると血液を汚染し、臓器感染を起こす可能性もあります。
●床ずれと全身の炎症兆候に注意
床ずれが炎症を起こしていると、その周辺組織にもあっという間に広がっていきます。創傷部が赤く腫れていないか、熱を持っていないかを随時確認しましょう。
感染種によっては、急性憎悪を招く危険があります。細菌性感染症が最も多いですが、そのほか丹毒・壊死性筋膜炎・ガス壊疸などが主な例です。
体内で感染症が起こると、まず体内の病原に対して反応数する白血球数値が急増し、感染起点から数時間後には数値として現れます。
数日間かけて、血液成分C反応性たんぱくの数値も上昇します。血液検査項目の中のCRPと示される数値です。
これらの血液反応を見ながら、感染症に効果的な薬を用いて治療を行いましょう。