年齢を問わず、感染症の元となる細菌やウイルスが血液内に侵入して全身に廻ると、血流が行きかう臓器に支障をきたします。各臓器に感染菌の毒素が入り込めば、多臓器不全を引き起こし、全身症状が顕著に現れます。
免疫力が低い小児や高齢者は、特に敗血症への注意が必要です。
成人は体内の免疫機能が正常に働けば、その局所にとどまらせることができる可能性は充分にあります。しかし、身体の疲れや疾病による免疫抑制状態の場合は、全身に感染菌の悪影響が現れることもあります。
○高齢者が敗血症になった場合
加齢とともに、身体機能が低下し、基礎疾患を持つ確率が増えてきます。体内の免疫機能もやはり加齢に伴って低下し、わずかな外傷や床ずれから致命的な病態に進行してしまうケースも珍しくありません。
●高齢者の敗血症発症の危険
高齢者で注意しなければならないのは、基礎代謝と身体機能の低下により、回復力と免疫力が低下しているということです。通常なら大した傷ではないと、処置を続けて回復を待つような場合であっても、その微小な傷から菌が侵入し、全身に廻ります。
特に、基礎疾患が有る高齢者の場合、全身に感染が波及する敗血症に陥りやすいというデータがあり、「重症敗血症患者の約70%が65歳以上の高齢者」「65歳以上の高齢敗血症患者の3ヶ月後生存率は18~64歳の成人肺欠所患者と比較して優位に低く…」なるとされています。(日本救急医学会雑誌 ジャーナルオブジャパニーズアソシエーションfor Acute Medicineを参考)
●敗血症が引き起こす症状
低体温または発熱、頻脈・呼吸のみだれや悪寒といった敗血症の初期症状があります。各所の臓器不全(呼吸不全・凝固障害・循環不全)に加えて、中枢神経障害など、神経や脳にまで異常をきたすこともあります。
●敗血症予後と再発のリスク
免疫機能が低下、または基礎疾患による免疫制御をコントロールしている場合、以前と同じ環境や病巣がある限り、敗血症再発の危険性をはらんでいると考えてよいでしょう。
同時に、合併症によって新たな症状が加わった場合、ケアや経過観察に注視するポイントも増えます。わずかな血液状態の変化に一喜一憂することもありますが、もとより感染症の原因となる菌やウイルスを排除する環境整備が必要です。
寝たきりで看護を受ける患者の場合、下の世話を必要としますが、黄色ブドウ球菌や緑膿菌の感染が原因で敗血症を起こす確率が高いというデータもあります。
敗血症は、発症後の初期看護処置が最も重要だとされていますが、再発しないためのケア(衛生面と感染予防)が非常に重要です。予後を早く回復させるためにも、重症化する前に敗血症の原因菌に効く抗菌薬を投与する必要があります。
常に清潔と除菌を心がけ、日ごろの経過観察と血液検査から、敗血症の兆候を見逃さない様にしましょう。