褥創を深さと進行度で分類 外見と実態を知る

褥創のおこった部分を観察すると、大きく広範囲にわたって圧迫痕があるケースと、ほんの一部に丸く傷ができているようなケースがあります。
傷の具合を想像すると、小さな傷のほうがより軽微な印象があるかもしれません。しかし、褥創に限っては、見た目で傷を判断するのは非常に危険なのです。


○褥創の分類基準は「深さ」
褥創とは、体の圧迫やズレ力によって生じる皮下組織の損傷を表します。外傷性損傷のように激しく出血があるわけでもなく、見た印象で傷口の大きさや深さを知ることはできません。

 
●深達度による褥創分類
褥瘡は傷の程度が変化しやすく、その時々に効果のある治療や処置を要します。そして、褥瘡はその深さレベルで創傷具合を計り、治癒に向けておおよその治療計画を立てていくことになります。
深達度による創の分類は4段階で構成しています。ステージⅠは、表面的な外傷は認めず、発赤や紅斑程度ですが、真皮部分では細胞が傷つき始めている状態です。
ステージⅡから皮膚表面に水疱ができて滲出液がともなうびらん、潰瘍があらわれます。
徐々に深い損傷がおこり、障害が真皮細胞を超える、皮下脂肪組織を超えて傷が振興している状態がステージⅢです。ステージⅢ程になると、傷表面の真皮が欠損しているため、滲出液が増え、恒常的な観察とケアが必要になってきます。
最終的に、筋肉や腱にまで及び、局所・全身感染を引き起こしやすくなるのがステージⅣ。不良細胞や感染部分が多くなりやすく、ステージの進度が進むごとに治療継続期間も長くなるということです。

 
●分類の原則は「深い」か「浅い」か
褥瘡は、毎日の生活のなかで起こったことや環境によって、症状の進行度がまったく異なります。つい数日前までは軽い症状の様に見えた褥創も、あっという間に傷が広がり、また新たに創傷が増えることも珍しくありません。
一見すると前述の分類のなかのステージⅡとⅢの見極めがつきにくいでしょう。適切な処置が行われなければ、感染細胞も増殖してどんどん深部に進行してしまいます。
ただ、それぞれのステージによって、行う処置やとるべき策はおおまかに異なっていても、肝心なのは「深さ」によって創傷を判断することです。

 
○浅い褥創 深い褥創の簡単な見極め
一般的な褥創の傷の見方で、きれいな傷状態か否かがあります。創がきれいというのは、真皮細胞がなくなった後に形成するそれぞれの細胞が感染していない状態、ということを表します。
感染した傷口は、褥瘡の治りも遅くなり、創面が白っぽく膿んでにおいもきつくなります。目に見える傷の奥にポケットや膿うんだ感染細胞が残存しやすくなるため、薬だけの処置では治癒させるのは困難。
一部傷口を切開して、奥にある感染細胞を取り除くために行うデブリードマン(処置)が有効ですが、患者の傷口や全身状態によって慎重に見極める必要もあります。