看護計画を立案するためには、現状の把握が最も重要になります。長期的な治療や療養を目的とした入院患者の場合は、そのアセスメントを行うことも容易ですが、在宅で褥瘡が起こり、治療が必要になるときは、慎重にアセスメントを実施し、どのようなアプローチをするか、治癒に向けた短期目標を立てて段階的な改善を行うようにしましょう。
○全身のアセスメント
褥瘡のケアを行う場合、局所的な見地だけではなく、その先に起こる褥瘡の可能性も見据えて全身の観察を行うことが大切です。
●摂食状態の確認と短期目標
十分な栄養が経口摂取できているかどうかを確認します。口腔状態や嚥下能力を確認して、食事療法が可能か、また十分な栄養を取るためにビタミンなどの栄養補助食品や点滴剤などを併用して、皮膚や創傷部分の改善が見込めるだけの栄養分を摂取するように看護計画を立てます。
もし、嚥下能力に問題があれば、流動食や軟食で様子をみることも必要でしょう。義歯の状態も見て咀嚼に問題がないか、口腔内に残渣がないかなどの口腔ケアも短期的に見守るようにします。
●理学的な所見と看護計画
寝たきり高齢者の場合、食事が適切に摂取できない、嚥下能力が低下している場合には脱水の有無も把握しておく必要があります。尿量の減少や、下の乾燥化、指の爪を押したときに色の戻りが遅い時には脱水を疑いましょう。肺炎や気管支炎を起こしている可能性を考えて、褥瘡以外の全身状態を確認する必要があります。
○局所のアセスメントと看護計画
褥瘡の創傷部分を治療して完治させることが、看護計画の目標となります。創傷部分が深部にまで及んで壊死が進行している褥瘡は、治療が長引きますので、症状の改善に沿って短期的な看護計画を立案し、処置を継続することが重要です。
●局所観察の順番
まず、創傷が床ずれを起こしてできたものかを検討します。表面で確認できる傷より皮膚の深部で見えない組織の損傷有無を想定しましょう。
長時間加圧される骨突出部分に創傷が確認される場合は、床ずれと考えて良いでしょうが、骨突出がない部分は床ずれではない可能性もあります。
褥瘡のステージを分類を行い、さらに感染の有無、壊死組織の有無と性状判断を行います。
●症状による看護計画の優先度は
短期目標として、その褥瘡をケアする優先順位をもとにした計画立案と経過観察が必要です。
局所治療では感染箇所の治療が最優先で、感染進行を抑えるための処置と観察を看護計画に入れます。全身状態が悪化していないかが非常に重要です。感染巣が局所から全身に広がる可能性があるので、慎重に経過観察することも立案しておきましょう。
●入浴の可否を看護計画立案時に確認
入浴は、皮膚の乾燥状態を改善し、壊死細胞を除去する点でも有効だといわれています。感染がある患者も、全身状態が落ち着いていれば、医師に確認をして週に数回程度の入浴を看護計画に入れるとよいでしょう。