敗血症の重症度に沿った治療選択と早期完治

敗血症(sepsis)は、日本集中治療医学会によって「感染によって発症した全身性炎症反応症候群」と定義づけられています。車いす生活を送っていたパラリンピック選手が敗血症を発症して亡くなったというエピソードや、ごく最近では同様の身体障害を持つアスリートのドラマの中でも、褥瘡発症のシーンの中で「敗血症のおそろしさ」を伝える場面もありました。

褥瘡に限らず、病床に伏し感染ルートのある状態で治療していれば、元の病種に関わらず発症リスクのある症状です。
注意するべき点は、敗血症の症状が現れたら全身転移し重症化するリスクが非常に高いという事でしょう。

 
○敗血症の初期症状を見逃さない
病気を患って入院している間、治療を継続していると、その日の体調や健康状態によっては所見や血液数値、発熱などの変化があることは想定できます。しかし、その軽微な変化の中にも敗血症の補助的指標とされるものがあります。

 
●敗血症指標を知って重症化を防ぐ
敗血症は、感染した後に感染源が血流にのって全身に廻るため、短時間で全身に異変を生じさせるのが特徴です。
看護観察の所見で発熱や低体温、心拍数の増加や頻呼吸が見られた場合は、容態の急変を疑うでしょう。また血圧の低下や明らかに見てとれる全身の浮腫・体液増加などの変調も、敗血症の兆候として見逃せません。
感染が起こると、血中のCRP値が増加します。白血球の数値が増多・減少した場合も、血中炎症反応が起こっている事が示唆されます。これらの血液反応も指標として重要なポイントです。

 
●敗血症の重症度と感染源
人は様々な病原体やウイルスなどに感染する可能性があり、その感染源や感染ルートも多様です。しかし、体の変調を引き起こした細菌やウイルスをいち早く特定し、その感染源に効果のある抗生物質を投与しなければ、敗血症は見る見るうちに深刻な状態になってしまいます。
重症度の分類は、臓器の機能障害(重症敗血症)や低血圧(敗血症性ショック)を起こした場合です。臓器に異常が起こると、本来は解毒や老廃物除去のために働く肝臓や腎臓などの機能が正常に働かず、低酸素血症や急激な尿量減少、凝固異常などを引き起こします。
臓器の障害を起こす病原ウイルスに効果のある投薬を、いち早く行う事が大切ですが、原因特定を行うのは非常に難しく、点滴で抗生物質投薬を行っても改善されないという事もあります。

感染する危険性はどんな病気や環境でも起こり得ますが、深刻な状態と思われるほどに重症化してしまう前に、敗血症とすばやく診断され、効果的治療が実施されることで、完治することは可能です。しかし、仮に重症化した場合は、合併症を起こす危険もあるため、敗血症治療と並行して合併症の予防治療も必要になります。
体調に変化が起こった時、適時医師に相談しアドバイスや処置をいち早く施せば、治らない症状ではありません。早急に効果的なケアを探りながら治療を行いましょう。