褥創の発生率からわかること 慎重な継続ケアの重要性

病床の多いまたは少ないに関わらず、入院患者を継続的に看護しているなかで、病気の治療と併せて大切なのが褥創の発生を予防する事です。
在宅看護や介護が増加を続けている現在では、褥瘡が発生してから、その治療のために入院をするというケースも少なくありません。

しかし、病気の治療を行うために入院した患者が、新たに褥瘡治療も並行して行う事になれば、患者の身体的・費用的にも看護を行う施設自体の労務にも負担が重なります。
継続的な看護観察と、予防ケアを充分に行うことで、患者も家族も安心して治療に専念することができます。

 
○ガイドラインの褥瘡発生率
日本褥瘡学会では、褥瘡に関する定義や症例紹介、アセスメントを紹介しながら実測データ統計を取り、ガイドラインを定めています。
同学会が発表したガイドラインに依れば、2006年時点で褥瘡有病率病院0.96~3.32%、褥瘡推定発生率病院0.6~1.76%としています。

 
●褥瘡有病率とは
病院内でどれほどの割合の患者が褥瘡を発症しているかを数値化したものが「褥瘡有病率」です。
調査日に褥瘡を保有する患者数を、調査日の施設入院患者数で除した割合で表します。
この時、同学会の算定方法としては、複数箇所に褥瘡を認めた患者も1名としてカウントする方法を共有しています。

 
●褥瘡推定発生率とは
調査日に褥瘡を保有する患者数から入院時すでに褥瘡を発症し記録されていた患者数を差し引いた数値を、調査日の施設入院患者数で除した数値で「褥瘡推定発生率」を算出します。
ただし、入院時すでに褥瘡を確認した患者も、新たに入院中に褥瘡が発見された場合は褥瘡発生者としてカウントするとしています。

 
○調査施設と褥瘡発生率
平成18年に実施された実態調査報告によれば、調査は一般病院・療養型病床を有する一般病院・大学病院・精神病院の4部門で統計を取っています。
介護保険導入後、8割以上(一般病院では93%の)施設で褥瘡患者加算の届け出を行っており、褥瘡の看護や治療に取り組む前向きな姿勢を感じます。
しかし、施設別の総褥瘡有病者数に対する院内発生割合は55~70%と高く、なかでも訪問看護ステーションでは院内発生が78%を超えるという結果になっています。

 
○今後の褥瘡発生予防は
高齢社会となり、高齢者介護施設数が急増するなかで、在宅介護を選択する家族や世帯も多くなっています。
施設での発生率低下を目標とするだけではなく、地域や医療施設と介護サービスの連携を図りながら、在宅看護・介護者の褥瘡予防を継続して行うかというシステムづくりが非常に重要になります。