皮膚疾患が現れたら 薬は正しく使うこと!

薬事法の改正やジェネリック薬品の登場、サプリメントの急増など、薬にまつわる販売条件や使用するシーンは以前と比べてずっと幅広くなってきました。

気軽に使えて、症状が楽になるなら・・・と、家に常備薬を置いている家庭も多いでしょう。一過性の症状を緩和するために薬を備えておくと、つらい症状を抑えてくれて快適な生活が送れます。

主に風邪薬や胃腸薬、鎮痛剤などの内服薬の他に、擦り傷や切り傷に効くと言われる外傷塗付薬を常備しておく家庭も多くなっています。

皮膚科を受診しなくても、傷やかゆみを取り除くことができるためとても重宝するのですが、傷を治すためなのか、症状を楽にするためなのか、薬成分にはそれぞれの役割があります。

○皮膚疾患による症状緩和の薬
市販されている薬の多くは、「かゆみを抑える薬」です。かゆみを抑えるために働く成分である「抗ヒスタミン剤」が配合されている塗り薬が一般的でしょう。

●早めにかゆみを取り除く
乾燥や刺激に対する反応のために、皮膚は赤くなったり水ぶくれが生じたりします。かゆみがあれば、そのかゆみを解消しようとしてガリガリと掻いてしまいたくなります。

しかし、掻けば症状が治まるかといえばそうではありません。かゆみよりも強い「掻く」という刺激が優ることで、楽になったと脳が勘違いしてしまうのです。
掻けば掻くほど気持ちよくなりますが、その刺激はだんだんエスカレートしていきます。ついには皮膚が真っ赤になり、血が出るほどに掻きむしってしまい、かゆみから痛みと創傷を引き起こしてしまいます。

●傷箇所には薬を塗らない
皮膚疾患は、赤みやささくれ、水疱というような、明らかに普通の状態ではないことが見てわかるという特徴があります。特に乾燥を伴う場合、皮膚の表面が傷付きやすく、塗付した薬が浸透しやすくなります。
また、掻き壊して傷ができてしまった場合には、かゆみを抑える塗付薬が刺激になって痛みやチリチリとした刺激を強く感じ、更に赤みが増す事もあります。外傷がある場合には、市販薬使用をせずに、皮膚科を受診して症状にあった薬を処方してもらうようにしましょう。

○ステロイド剤含有薬について
ステロイドとは、人間の副腎と呼ばれる臓器でつくられるホルモンの一種です。この副腎皮質ホルモンを人工的に合成し、効能を高めたものがステロイドで、炎症を抑え、自己免疫抑制の効果が高いと言われる薬剤です。

皮膚疾患には、自己免疫の過剰反応によって表れるもの(アトピー性皮膚炎や膠原病)もあります。市販薬にも、炎症を抑える目的で配合されている商品がありますが、ステロイドのみを自己判断で長期使用するのはよくありません。かといって、ステロイドを過剰に怖がったり拒否したりする必要もありません。

正しく使う事で、最大限の効果を得ることができるように配合しているのが市販薬です。自己判断レベルを超えて医師の診察を仰がなければならない皮膚症状は、きちんと処方された薬剤を適時用いながら治療するということを、常に心がけておくべきでしょう。