皮膚疾患は多種多様 症状を観察して原因を取り除く

皮膚疾患は、年齢や性別に関係なく誰にでも起こりえる症状です。
皮膚は全身を覆っているので外気に触れる面積が広く、体に有害な刺激や成分が侵入してこないようにするために、体全体を守るバリアのような役割を果たしています。

体内を健康に保つための関所のような機能を果たすために生じるのが皮膚疾患ですが、いくら体内を維持するためとはいえ、皮膚が損傷したままでは、その傷口が元で細菌に感染する恐れもあります。
体を外的刺激や感染から常に守ってもらうためには、皮膚状態をよくしておくことが大切という事です。

○初期症状を見逃さない
皮膚疾患は、他の病気や疾病と比べて非常に早い段階で分かりやすく症状に現れます。この初期段階を見逃さずに、早めにケアすることで皮膚の深部にまで傷を進行させず、また痛みやかゆみといった自覚症状を和らげることができます。

●かゆみを伴う場合
皮膚の異常や疾患で最も多いのが「かゆみ」でしょう。人は正常ではない部分に無意識に手を当ててケアしようとする自衛本能があります(手当と言われる語源です)。かゆみを感じると、自覚しながらも継続するかゆみを回避するために、湿疹などの患部を無意識に掻き続けてしまうことで、皮膚疾患を進行させてしまう事が間々あります。

●乾燥が皮膚疾患の原因?
特に高齢者に多い皮膚疾患が「乾燥が原因の皮膚炎」です。肌に保水能力があると、皮膚にハリが生じ、少しの刺激も跳ね返すことができます。
しかし、乾燥した肌はしぼみがちで、ハリが無くなり、ちょっとした刺激や摩擦に弱くなります。そのため、ほんのわずかな刺激でも、皮膚を傷つけてしまう事があるのです。

介助や看護の中でも、手を握った、肩や腰に手を当てて体位を変えた、というような日常誰もがする行動が、皮膚損傷の原因となり得ます。この傷を軽視して見逃すと、弾力が無くなり皮下組織も痩せてしまった皮膚の表面は、あっという間に外気の刺激と細菌によって症状が悪化します。
また、皮膚生成能力も衰えているため、傷の治りが悪く、進行スピードに追い付かずに重症化する危険性もあります。
皮膚そう痒症や接触皮膚炎(おむつかぶれなど)、皮脂欠乏性皮膚炎や紅皮症(こうひしょう)は、特に高齢者に多いと言われる乾燥が原因の皮膚疾患です。

外出先で刺激が原因のかゆみを生じた時、また介助や介護の途中では、汚れたままの手や爪から掻き壊した傷口にバイ菌が侵入し、腫れや赤み、痛みを伴うただれや糜爛症状に進んでしまう事もあります。
まずは手当てする手を清潔にして、刺激を与えないようにして、症状にあった薬を塗付しましょう。