体の免疫機能が弱まっているときや、病原菌によって体調不良を起こしたときに、病院を受診して抗生物質を処方されたという経験をしたことがある人は多いでしょう。実際に抗生物質を使用して、症状が改善したと思ったらなぜか肌荒れがひどくなったということはありませんか。
○入院患者の投薬と肌荒れ
病気や疾患のために入院している人、また長らく通院しながら抗生物質を飲み続けている人のなかに、肌の不調を訴える人が多くいます。これは、抗生物質の成分が発疹や肌荒れの原因となるものを含んでいて、飲み続けることで体内に蓄積し、表面化することが原因と言われています。多くは非アレルギー性タイプのもので、体は初めの外的要因が起こることによって免疫を体内に作ります。そして、同じものを二回目に体内に入れたときに、免疫細胞がアレルギー物質の侵入を攻撃することで、肌荒れなどの反応を引き起こすことがあります。このような副作用が現れるのは、数日から10日前後の間隔をあけてからという場合が多く、アレルギーを引き起こして湿疹が現れると一瞬のうちに、消化する胃部分の表面皮膚を中心として血流がおこる全身に広がります。
○肌荒れが褥瘡を起こしやすくする可能性
抗生物質を投与している患者は、このアレルギー反応による皮膚炎や湿疹を起こすと、肌荒れ患部のかゆみを伴うため、全身手の届く範囲で患部を掻き壊してしまうことが多くあります。こすれやずれ力を感じると患部のかゆみが解消されることから、自発的に体をゆすったり、動かしたりすることで、力のかかる場所の皮膚が摩擦を起こし、赤くなったり発疹の傷を爪でひっかいてしまうこともあります。
○ずれ力から褥瘡へ
かゆみや湿疹が書き壊されて皮膚がびらんの状態になると、褥瘡に進行する可能性が非常に高くなります。皮膚が薄く、皮下脂肪や筋肉の少ない骨の突出部は特に、こすりつける行為によって褥瘡になりやすい箇所です。かゆみでじっとしていられないため、小刻みに動きがちになりますので、かゆみ止めを処方し、抗生物質の使用停止など、早めの処置を行うことが大切です。しかし、病状改善のために使用している抗生物質が原因で肌荒れを起こしているという特定は、発症までに時間がかかるため、なかなかすぐにジャッジできないのが現状です。体位変換やケアの合間に、細かな表面観察を行い、赤身や発疹、肌荒れを見つけたらすぐに担当医師にその状態を伝え、我慢させない看護と介護を行いましょう。皮膚のかゆみによって爪で掻き壊してしまうと、爪の間に潜んでいる雑菌から感染症を引き起こす可能性もあります。皮膚感染症が強く症状として現れる前に、かゆみや肌荒れの原因となる抗生物質の投与を見なおし、別の薬や処置にきりかえることが非常に大切になります。