病気を患って入院期間が長くなると、体を安静にしている時間が長くなります。すると、血行が悪くなり、様々な活動にも影響が出てきます。
体の一部が動かせない、自分で自立した動きを取りづらい人こそ、手軽なものから体を動かすことを意識して、寝たきりの静止状態を短くすることが大切です。
○寝たきりの状態が長くなると
人間は体を動かす時に、血液を全身に送るために心拍が上昇します。充分な筋肉の収縮と、活動する神経が連動して、そこに充分な酸素と栄養を備えるための血行が相まって体を動かす運動能力に繋がります。
寝たきりの状態が長くなればなるほど、全身をめぐる血行が悪くなり、肩甲骨や腰部などの重力が集中する部分に圧が加わり、血液が圧力部分に溜まりやすくなります。
逆に足先や手先など、体の末端部分にある毛細血管に充分な血液が供給されず、末端が冷えて感覚が鈍くなります。
○血行が悪くなる寝たきり状態の弊害
寝たままの姿勢が長くなることは、病気や疾患の程度によっては仕方のないことでもあります。自立した生活や体の動きが取れない人にとっては、少し体を動かすこともできない麻痺やしびれ、安静が必要な場面もあります。
ただ、全く体を動かさない状況が続くと、床ずれはおろか、血行が常に良くない状態が続き、体がいつも弛緩気味になります。緊張感と活動をつかさどる交感神経の働きと、副交感神経のバランスが壊れやすくなり、自律神経失調になりやすくなります。そのため、意識がはっきりせず、体も休息の状態が続きます。
自律神経が乱れて副交感神経が優位の状態が長くなると、なにかをやろうとする前向きな気持ちが阻害されます。
関節の曲げ伸ばしをするシーンが減り、関節の拘縮が進行していき、更に体を動かそうという気持ちも欠けていきます。
○まとめ 意識的に運動をすること
麻痺や障害のために、自分の意志で体を動かすことができない人は、運動そのものに抵抗を感じて諦めてしまいがちです。
しかし、体を自力でなく、他力を借りてでも動かすことで、筋肉の収縮運動がおこり血行が促進されます。簡単な動きでも構わないので、手でグーとパーを繰り返す、両腕を平行に伸ばし、万歳の姿勢までゆっくりと持ち上げる、首を前後ろに動かすという様な、簡単な運動を取り入れてみましょう。車いすなどの座位が長くなる人にとっても非常に有効です。
体を動かすことで、血行が良くなり、意識と気持ちがはっきりしてきます。体温低下で感覚が鈍くなった手先や足先を動かすことも、血行促進や意識レベルの回復に非常に役に立ちます。
寝たきりな体の血行を促進する為に、褥瘡に悩んでいる人の家族のサポートも得ながら、軽度の運動を取り入れてみましょう。