褥瘡を予防するには 適切かつ未然に防ぐ方法を理解しよう

褥瘡は、特に寝たきりの状態が長い入院患者や高齢者に起こります。俗に「床ずれ」ともいわれていますが、一定以上の時間、特に骨や関節の突出部分を長く圧迫することで起こる炎症や皮膚の損傷した状態のことをいいます。
ただ、圧迫が長く続くという理由だけですぐに床ずれを起こし、褥瘡を悪化させるわけではありません。
原因は一つではなく、様々な外的要因が重なり合って発生するケースが少なくないのです。
褥瘡の原因となる要素をひとつずつ取り除き、より快適な姿勢をとれるように痛みを解消してあげましょう。

○褥瘡を起こしやすいケースとは

寝たきり姿勢が長く続く場合に引き起こす可能性が高くなる褥瘡は、加齢による体の変化や衰えによるものもすくなくありません。
●痩せて骨の出っ張っている場合
年を取ると、若い頃のようにたくさん食べ物を摂取することが出来なくなります。咀嚼して飲み込む嚥下に問題がある高齢者も多く、柔らかい食べ物を摂取する頻度が高くなると、栄養を存分に摂ることが難しくなり、結果痩せてきてしまいます。
体が細りだすと、関節部分などの骨が出っ張り、体を衝撃から守る脂肪も少なくなります。そのため、直接的な圧力がそのまま圧迫した部分にかかり損傷を招きます。
肩や腰、後頭部、くるぶし等、出っ張りがある箇所をやさしく保護する低反発クッション等を利用して、直接的に硬いベッドのマットが当たらないように工夫しましょう。
●加齢による皮膚の弾力不足と筋肉の衰え
加齢が進むと、肌のうるおい成分が不足しがちになり、水分を上手に保っていられなくなってしまいます。皮膚の乾燥が進み、こすれや圧迫に対してキズを作りやすくなってしまうのも褥瘡の原因となります。また筋肉が衰えることで骨や関節の保護層が薄くなり、床ずれの原因となります。
骨の出っ張りを保護する時と同様に、柔らかいクッション等を使用し、姿勢を変える時も強い力を手にかけて無理に引き起こさないように、患者の体を包み込むようにして体全体を持って体位を変えてあげるようにしましょう。
●寝たきりでおむつを使用する
自立してトイレに行けない患者は、おむつを利用している人が多いですが、排泄行為の有る無しに関わらず、定期的におむつを交換していなければ、おむつの上から着用しているパジャマや布団との間で湿度が上がり、腰回りの皮膚が常に湿った状態になってしまいます。湿度でふやけた皮膚は特にこすれるとキズを作りやすくなるので、注意が必要です。
同じく、失禁がある人も、腰回りを常に清潔にしておかねば、雑菌が増殖して傷から侵入し、化膿を進行させる原因になります。
こまめにおむつを交換し、掛け布団の間に定期的に風を入れて湿度を逃がしてあげるようにします。また、清潔で柔らかい素材のシーツを使用し、汚れる前に交換するようにしましょう。

○まとめ

床ずれは、一度出来てしまうと体を動かす時に気を配るため、体全体の稼働を消極的にしてしまいます。痛みをかばって体位を変えずにいると更に症状は悪化してしまい、寝たきりを長引かせてしまいますので、褥瘡が起こる前に、また床ずれを起こしたら重症化する前に予防ケアしてあげることが非常に大切です。