寝たきりの人の排尿介助と感染リスクについて

体を自由に動かせない「寝たきり」(または寝たきりの状態に近い)患者は、自力歩行が困難となり、排泄行為を介助の手に委ねる事になります。
おむつの使用して都度交換を行う患者も多いですが、在宅や介護施設で清潔ケアを徹底するために、注意すべき点はどんなことがあるでしょう。
排尿後に行うべき感染症対策について、項目を明示して一つ一つ確実に実施するのが望ましいでしょう。


〇清潔に対するセルフケアに限界がある寝たきり状態
体の一部機能が障害によって動かせない患者は、残存機能を維持するために、リハビリやトレーニングを行い、補助具を使用することで、日常生活をある程度自立して過ごすこともできます。
しかし、介助を常に必要とする寝たきりの患者は、生命維持と環境保全に関わる全てのことを、介助や介護者に任せることになります。
顔や体の向きを変えたり、わずかに好みの姿勢に動いたりすることができても、支えや姿勢保持には介助が必要です。そして、介助を行う人の処置や対策が、寝たきりの人の健康・治療環境に大きく影響します。

 
〇排尿後に行う感染症予防ケアは
下の世話を行う上で、おむつの利用は非常に便利かつ、処理が楽で、寝たきりの患者と介護者双方にメリットがあります。おむつの性能はどんどん良くなり、通気性や快適性に優れたものも多くなりました。しかし、その機能に慢心してはいけません。
排便排尿をした後は、どれほど機能に優れたおむつでもやはり、寝たきりの患者自身は不快に感じます。また、排泄物が刺激になって、かゆみやムレも起こります。おむつのずれや、体に合っていないおむつを使用すると、尿便失禁の不快感も増します。
おむつ交換を行うたびに、陰部洗浄をおこなって清潔に保つことが重要です。ここで、感染のリスクを考えて、陰部洗浄に用いる専用ボトルは、一人に対して一本ずつにして使いまわしをしないようにします。
また、清潔ケアを行うときには、手袋やマスクを着用して、ディスポエプロンを装着し、寝たきりの人の感染予防とケアを行う人自身の身を守るという意識を欠かさないようにします。

 
〇排尿後洗浄の方法
おむつの交換を行う時、臀部に赤みや発疹がないか、おむつの締め付け跡やずれによる傷がないか、陰部に感染が起こっていないかなど、異変が起こっていないかどうかを観察しましょう。観察をするための時間を長くとるより、洗浄を行うときに合わせて観察するのがベター。
臀部はまず、人肌程度の温度の湯できれいに流し、石鹸をよく泡立てて、こするのではなく泡で包むように洗浄しましょう。こすることで刺激になり、皮膚を傷つけてしまうこともあります。ボディーたわしなどは用いずに、手で博愛の心を以てやさしく洗い、石鹸が残らないように丁寧に洗い流しましょう。
洗浄をした後は、タオルでこすらずに押さえて水分を吸収するようにします。必要に応じて保湿クリームなどでスキンケアをしましょう。