超高齢化社会を目前に、厚生労働省は病院主体から在宅重視とする地域完結型へとシフト転換しようとしている状況です。
在宅で療養や介護という形になれば、自宅で介護や看護をする人は褥瘡治療がしっかり行えることが重要となります。
そのために安全で的確な治療方法を身につける必要性が高まっています。
褥瘡が起きている人の特徴
創傷の中でも治癒しにくい代表としてあげられるのが褥瘡です。
他の創傷とは違って発症する原因が圧迫であることから、ダメージが全層へ加わることで創を深い状態にしやすいという特徴があります。
完全に圧迫を取り除くことができない状況の場合、栄養状態も十分でないケースが多く見られます。
湿潤療法を行うべきではない褥瘡もある
褥瘡による皮膚潰瘍に対して行う湿潤療法は、消毒を行わず水道水でよく洗い乾かさないという方法です。
ただし褥瘡の場合でも大量の壊死組織が存在している時は細菌感染を併発しやすい危険な状況です。この状況で湿潤療法を完全閉鎖密閉状態で行えばさらに褥瘡を悪化させることが予測されます。
ヨウ素含有製剤は常に有効?
壊死組織が多く細菌感染を併発している場合、ヨウ素含有製剤は有効な薬剤となりますが、細胞障害性があることから治癒に向かい再生期に入っている場合には望ましくありません。
そのため褥瘡が自然治癒する過程を妨げる治療方法を避けて、最良の環境が保持できるものを選ぶ必要があります。
創の状態や圧迫の程度、栄養状態などを考慮しながら適切な治療法を決定すること必要となるでしょう。
褥瘡の時に受診すべき診療科は?
日本褥瘡学会の会員になっている医師は、皮膚科、形成外科、内科、外科、リハビリテーション科、整形外科といった様々な診療科で褥瘡の診療を専門とする医師です。
医師以外にも、看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、栄養士といった様々な専門職の人が参加しています。
多くの医療施設に褥瘡の対策チームが設けられているため、どの診療科の医師が褥瘡専門なのかは医療施設によって異なります。
受診したい医療機関で確認してから受診するようにしましょう。
褥瘡の状態の確認を
身体状態や褥瘡が発生した原因、受けている損傷の深さによっては治癒まで時間がかかる場合もあります。
治療は外用剤などを使用して行われる場合もありますが、創部に細菌が増え炎症が起こっている状態の時に使うもの、または感染が落ち着いた後創部の治癒を促すもの、保湿して創部を保護するものなど褥瘡の状態によって使い分ける必要があります。
まずは褥瘡の状態をしっかりと確認して、適切な治療を行う必要があります。
在宅ケアで最も必要なこと
実は在宅ケアで一番問題になるのは介護者の負担です。
毎日処置を行うことは介護者にとって大きな負担となるため、精神、身体、経済とかかる負担を軽くすることは褥瘡ケアに重要なことです。
訪問診療や訪問介護などを併用しながら、無理のない範囲でケアが継続できるようにすることも必要です。