介護で寝たきりの人の褥瘡を予防するためには?

介護状態の人など、寝たきりの人は常時同じ態勢なので体の一定の部分にのみ圧力がかかります。その結果血行が悪くなり細胞は壊死して褥瘡を発症させます。

一度褥瘡ができてしまうと、治癒するまでに時間がかかるだけでなく次の状態に悪化することも多く見られます。

そのため寝たきりのお年寄りの場合は、褥瘡そのものができないように予防することが大切です。

拘縮予防が褥瘡予防に

同じ姿勢で長時間いることは褥瘡の原因になりますが、それともう1つ、「拘縮」によって偏った態勢を取りつづけて体の同じ部分に圧力がかかってしまうことも原因です。
・拘縮とは?

長時間寝たきり状態になったことなどが原因で、動かさなくなった関節が固まることを拘縮と言います。

どちらか一方の膝や股関節が曲がったまま固まってしまうと、曲がっていない方の半身に強い圧力が掛かることになります。
・拘縮予防のためには

適度に関節を動かすことが拘縮の予防になります。介助者が関節可動域の訓練を行いましょう。

関節を動く範囲の限界までゆっくりと動かします。素人判断せずに医師や理学療法士の指導を仰ぎながら行うことが大切です。

体位変換による褥瘡予防

褥瘡予防のためには一定時間ごとに体の向きを変えるなど体位変換が必要になります。

2時間に一度は体の向きを仰臥位、右側臥位、左側臥位など変化させて同じ場所に圧力がかかることを防ぎましょう。
・体位変換のポイント

拘縮がない通常の状態の場合には、仰臥位、右側臥位、左側臥位といった3つの体位をバランスよく変化させていくことが大切です。

ただし拘縮がある場合には、拘縮のない側に圧力の比重が偏ってしまいがちです。拘縮のない側の除圧も重点的に行うなど様々な工夫を行うことが必要です。

肌に触れるものは清潔に

体位変換が褥瘡予防には重要になりますが、肌に触れることになるシーツや肌着、パジャマや浴衣、そしてオムツや下着などの「しわ」も褥瘡の原因になります。

しわだけでなく、長時間汗をかいたまま衣類を交換していない場合や、オムツ交換が行われていない場合も褥瘡の原因になります。

適度に衣類やオムツは交換するようにして、清潔な状態で皮膚の衛生面も確保するようにしましょう。

褥瘡は栄養状態も関係

適切な食事を摂らないことで栄養が不足している場合や、痩せ過ぎの体型で骨がつき出ている場合も褥瘡が発症しやすい状態になります。

血行を良くすることが褥瘡には重要

同じ態勢でいると同じ場所に圧力がかかり血行を悪くし細胞が壊死しますので、血行を改善する必要があります。

そのためには体位変換以外にも、マッサージや筋力トレーニングなどを行う必要があるでしょう。しかし寝たきり状態の場合で筋力トレーニングを行うことはなかなか難しいと言えます。

筋力トレーニングができなくても、体位変換やマッサージを頻繁に行うなどし、清潔さを保って寝たきりの介護状態の人が褥瘡を発症しないようにしましょう。