褥瘡の要因と予防するために必要なケアの方法は

褥瘡は、一昔前に「介護の怠慢」と思われていた時期がありました。
寝たきりの生活時間が長い人ほど褥瘡の発症リスクが高まること、そして体位変換や除圧によって褥瘡は起こりにくくなるということがわかってきてはいるものの、そのケアに着手するまでの時間が長くなると、次第に症状は重くなって治癒するまでに長い時間を要してしまいます。


〇褥瘡の発生要因は限定的ではない
それまで全身を注意深く観察し、異変や気になる症状はないかを数時間おきに観察していたとしても、褥瘡は不意のタイミングで発見されます。
強い体圧がかかっている箇所があっても、褥瘡を起こさない人もいれば、すぐに発赤し、水ぶくれのような症状を起こす人もいます。

●褥瘡が起こる多角的要因は
褥瘡は、何らかの原因となる理由が絡み合って起こります。単純に「圧迫」「擦れ・ずれ」がすべての原因ではありません。寝たきりですごす人の年齢や、栄養の摂取状態、基礎疾患の有無と投薬・むくみなど、身体的機能がどの程度かという点も大きく作用します。
そして、高齢者の寝たきり生活を支援する人が十分に配置されているか、観察のタイミングが適切か、介護のサービスを受けるために十分な経済力が伴っているかどうかという、社会的な背景(介護人材不足)と経済状態もかかわります。

 
〇褥瘡のケアと原因
人それぞれに、生活のリズムやタイミング、嗜好や人材を欲する環境など、褥瘡が起こる危険度は異なります。普段は十分にケアできていて、褥瘡の発生も確認したことがないのに、ふとした流行性の感染症(インフルエンザや嘔吐下痢など)が身近に蔓延するタイミングで、褥瘡を発生させる人もいます。
そして、基礎疾患のなかでも、がんや老衰による廃用状態にある場合などは特に、褥瘡が発生しやすくなります。生命維持活動を優先してしまうことによって、体の創傷が起こるというのは、いたたまれない気持ちになるでしょう。

●タイプ別に応じて褥瘡のケア方法を検討
栄養状態や疾患など、寝たきりの状態がどのようなものかを推測することは簡単です。しかし、実際に介護を行う人や、窓口担当医師がいなかったため、褥瘡ケアの対応も遅れたという事態が仮にあれば、その失敗を繰り返さないことで、その人に合った介護とケアにつながります。

 
〇その時だけでは判断できない褥瘡予防とケア
褥瘡の発症リスクを取り除くには、その傷の具合やケア、日々の生活の仕方や栄養状態など、継続的長期的に、担当者がフォローをして記録しておくことが大切です。
これまでに褥瘡を発症したことがある人には、以前の方法と違う手段でケアしてみる、たとえば局所ケアだけではなく、食事療法や入浴のサービスを利用するなど、いろんな方法を試しながら、患者にあった治療法を探すことも大切でしょう。