人の体は、年齢や性別、また運動量や毎日の過ごし方などでその体つきが決まります。そして、日々変化していきます。
若いから・太っているから・健康だから…という見た目や状態であっても、決して前の日と同じ身体状態とは言えません。
褥創を発症する人は、高齢者に多いということを言われますが、もちろんそれは加齢による痩せや機能の低下が原因であることに間違いは無いでしょう。
しかし、若い人が怪我をして入院し、寝たきりのまま数日過ごしても、褥創になることはないだろう…というのは違います。
〇褥創になる原因はだれもおなじ
健康に過ごしている人は、ちょっとした体の圧迫や違和感を、自分の力で整えることができます。
嫌な体勢が続くと、無意識にその嫌な状態をさけて自然にいられるポジションを自分で取ろうとするのです。
左右のどちらかを向いて寝てしまう人、足をもう片方の足に重ねて寝ると落ち着く人…など、人には癖があります。
いつもは気にならないような些細な癖が、病床や寝たきりのときに褥創の現認となってしまうことがあるということを知っておきましょう。
〇褥創ケアに欠かせない体位変換
同じ姿勢を保ちたくなる癖や、身体機能が不十分で同じ姿勢を余儀なくされている人は、いずれも体の局所を圧迫してしまうリスクがあります。
ずっと局所の圧迫がつづけば、しびれや痛みを感じるでしょう。痛みを感じるレベルになると、その部分の血管が押されて十分に血液が流れていないと判断できます。
ただ、感覚神経に障害が有る人や、加齢によって痛覚が鈍くなっている人もいます。このような人たちに、痛みや痺れを感じ取ってセルフケアを促すのは酷なことです。それがゆえに、介助力や介護の予防とケアが重要な役割を果たします。
介助を担う家族や、ケアマネージャー・支援員・訪問介護員が、連携をとりながら共通意識を持って体位変換を定期的に行うことが大切です。
○楽な姿勢とポジショニング
介護を受ける人が、褥瘡予防のためとはいえ、数時間もの間を無理な姿勢で過ごすのは辛いこと。介助人主導ではなく、介護を受ける人の癖や好みの姿勢を考慮したうえで、体位変換とポジショニングを検討する必要があります。
また、長時間の圧迫を避けるために、頻繁に体を自分の意思とは関係なく動かされると、要介護者は常に充分な休息が取れなくなってしまいます。そこで、就寝時間帯のポジショニング方法と、体圧分散を効率よく行うための工夫が求められます。枕やクッションなど角度が小さく高さが低めのものを選び、頭部から段階的に下肢に向かって体圧分散していくようにすると、要介護者は小さな体の動きで休息を妨げられず、介助人の力も小さくてすみます。
介護をする人もされる人も、できるだけ負担を少なくして、楽に快適に過ごせる方法を探り実践していきましょう。