小児から高齢者まで、いろんな感染源が元となって起こる可能性が高まる敗血症は、血流にのって全身に感染菌が蔓延してしまうことであらゆる臓器にも問題を起こします。
予防ケアを行うことが前提ですが、局所の感染を確認したら、全身に転移させないように処置を施し、感染源の特定をして効果のある抗菌薬を早く使用することがポイントとなります。
○敗血症でおこる重篤な症状は
感染した箇所だけに起こる皮膚のただれやはれ、痛み(うずき)は、自覚しやすいため発見も早く処置が容易です。
ただ、体内に侵入する感染菌、特に黄色ブドウ球菌や大腸菌、肺炎菌などは、消化器や気管支など特定の部位でおこる不調から、その感染症状を把握することになります。
そして、これらの菌がもととなって敗血症になる事例が非常に多いということに注意しておかねばなりません。
●敗血症に共通する全身症状
呼吸数や脈拍(心拍)数が増えます。通常の経過観察で行われますが、投与している薬の影響などで安定しない患者の場合、わずかな変化を見逃さないように注意しましょう。
体温の変化も重要で、38度以上の高熱または36度以下の低体温と悪寒を確認したときは、炎症反応によって全身に感染菌が廻っているリスクを想定しましょう。
●処置後に改善しない場合
病気や投薬の副作用によって、上記のような症状が現れることもあります。敗血症によって血液の中に菌が侵入している場合を想定して輸液療法を行っても症状が改善せず、血圧が低下したままの場合は、血圧を上昇させるための薬が必要です。この状態は深刻な重症敗血症と判断して、多臓器への影響や合併症に注意をせねばなりません。
○敗血症ショックと合併症
意識レベルの低下、尿量の減少や呼吸脈拍の増加は、敗血症ショック症状の特徴的なものです。この後に心拍が低下し、手足が冷たくなるようなことがあれば、命にかかわる危険な状態と判断します。
●敗血症の合併症
血液の循環する臓器に感染菌の毒素が含まれるため、あらゆる内臓器に悪影響を及ぼし、合併症を引き起こします。
特に回避したい合併症は「多臓器障害症候群」や「播種性血管内凝固症候群」です。
播種性血管内凝固症候群は、血栓を血管内に不用生成してしまう症状を起こします。多くの血栓を作って血小板を大量消費してしまうため、必要な止血箇所に有効に働くほどの血小板を確保できず、出血が止まらなくなってしまいます。
多臓器障害症候群は、肺や肝臓、腎臓、心臓など主要な器官の働きに生涯が出てしまう状態を示します。血圧低下や尿量減少はそのためで、尿毒症や腎不全を起こす原因となります。
敗血症の全身症状がひどくなる前に、また合併症を併発する前に適切な処理を行い、原因となる菌に適した投薬を実施しましょう。