治療経過と床ずれに細心の注意を 手術後ケアの重要性

高齢・若年にかかわらず、体の異常や疾患を治療する目的で入院、手術を要する人はみな、合わせて床ずれの予防に注意を払わねばなりません。
入院治療の長短にかかわらず、一定時間を同じ姿勢で過ごさねばならない場合は、例外なく全身状態の確認と、体の圧迫を回避するタイミングを計画に組み込むのが理想です。


〇長期間の圧迫による床ずれがおこりやすい場所
安静にしておく時間が長くなると、臥床したときに体重分布が最も大きくなるのが骨盤のある仙骨部です。
ひとたび仙骨部に急性期の床ずれが起ると、そのまま慢性化しやすく、手術を行った箇所の処置と同時に仙骨部分のケアも恒常化してしまう可能性があります。
また、骨盤と接合している股関節に近い部分、例えば大転子部分もずれや、こすれを生じやすいために床ずれを発生させるリスクが高い部位です。
見逃しがちな部分ではありますが、手術を行った後に仰向けの姿勢を長く取るなら、かかとにかかる体圧にも気を付けねばなりません。

 
〇手術後は腰まわりの状態観察を
手術をするべき疾患への処置と経過を見守ることは、入院生活を過ごすうえで最も大切ですが、疾患を治療している間に床ずれが起こると、別途床ずれの治療を目的とした入院や手術が必要になることもあります。
外傷性の疾患治療よりも、内臓疾患(消化器官など)や神経系の疾患、脳症のほうが、入院期間が長期化します。
また、手術を行ったあとも、後遺症が残ったり、完全に回復せずに機能障害と向き合っていかねばならない場合もあります。
体を安静にして過ごすことになる疾患の場合は、安静時にかかる腰への負担に注意しましょう。
手術跡の傷みが優先して、横たえた姿勢による腰の圧迫や腰部筋肉の硬直、体圧と血流阻害によるしびれや、びらんに気付きにくい患者も多いのです。

 
〇高齢者の安静と床ずれ悪化
一度入院や手術を必要とする疾患に見舞われると、特に高齢者は、自立した生活への復帰にかかる時間が長くなる・自立が難しくなる傾向があります。
毎日わずかでも身体を動かしていると、筋肉や神経を刺激して残存機能を維持しやすくなります。
しかし、たとえ数日でも、その刺激が止まってしまう入院や手術を行った後は、急速に機能が低下してしまいます。
手術が成功しても、その後自力でこなすことに対するモチベーションや、暮らしを営むための行動、意欲を失ってしまう人もいます。
手術には、体にかかる負荷とメンタルへのケアが必要です。
重い疾患に注目が行きがちですが、床ずれに対しても予防を前提としたケアを、早い段階で取り入れていきましょう。