床ずれには、大きく分けて4段階のステージがあります。2ステージまでは皮下組織が残存し、薬と処置によって改善の見込みがありますが、深部にいたる3ステージ以後は、身体全体の症状悪化につながる場合も少なくありません。
注意すべき悪化を見極める兆候やポイントを知り、床ずれの重症化を防ぎましょう。
○床ずれの局所的悪化と兆候
床ずれは、同じ姿勢を保ち続ける事による局部圧迫によって、皮下組織が破壊されて起こります。初期段階で確認することができる悪化の兆候は、皮膚の赤み・斑点・水(血)疱です。
皮下組織が壊されている部分では、細胞組織が傷つき炎症を起こします。びらんや潰瘍を確認したら悪化を防ぐために、まずは圧迫やズレ力を解消して、患部を清潔にすることが第一です。
●悪化が床ずれによるものか?
安静が必要な場合は、ねたままの姿勢を保持することが優先されてしまい、体位変換や背抜きを頻繁におこなうのが難しいケースもあります。
圧迫が長くなって床ずれの兆候が現れたといって、それが必ずしも床ずれを原因とする皮膚状態の悪化とは限りません。たとえばオムツを使うことでおこる皮膚炎や、糖尿病によって引き起こされる潰瘍の悪化ということも考えられます。
○床ずれの全身的悪化と兆候
皮下組織が壊れ、壊死細胞があるような深い床ずれでは、全身症状の悪化が起こることもあります。
圧迫によって血流障害が起こり、むくみの悪化・意識障害・低タンパク血症などが起こりやすくなります。
●床ずれの感染と全身反応に注意
床ずれは、一見した傷の大きさでその深度を計ることができません。傷口が小さく軽微に見えても、皮膚の下に壊死細胞や膿がたまっている状態が続けば、外科的な処置が必要になります。そして、患部が深く皮膚バリアが欠損した状態は、感染リスクを高めます。
特に、貧血や意識障害、発熱や血圧の乱れがあるような、身体状態の悪化を確認したときは、感染症の重篤化を想定して、全身的処置をいかに早く行うかが重要なポイントとなります。
その際には、全身反応が起こってから早急に感染源を特定して、特効薬を用いなければ症状は改善されません。
●基礎疾患の治療と症状の悪化
血液疾患や悪性腫瘍、糖尿病、肝臓・腎臓疾患といった持病がある患者は、その疾患に適した投薬を行います。基礎疾患を治療する薬の中には、ステロイドなどの免疫抑制薬、白血球数減少がおこる薬などの副作用によって、感染しやすい(症状が悪化しやすい)条件が整うことは珍しくありません。
処方する薬によって、おこる可能性がある床ずれ症状の悪化リスクを知っておくことが非常に大切です。