実務者研修の医療的ケアは何号研修??

介護福祉士になるには「実務者研修」を修了する必要があり、実務者研修のカリキュラムの中に「医療的ケア」が含まれています。

医療的ケアでは喀痰吸引・経管栄養について学びます。時々、実務者研修を修了された方から「私が受けた医療的ケアは何号研修ですか?」と質問がよせられますが、実務者研修の医療的ケアは、喀痰吸引等研修の基本研修にあたり、これだけでは喀痰吸引・経管栄養を行うことはできません。

喀痰吸引・経管栄養を実施するには、実地研修を受ける必要があり、1号から3号と研修が3つあります。こちらでは、何号がどのような内容かなどについて解説します。

介護福祉士

介護福祉士は国家資格であり、介護を必要とする利用者の生活支援や介護施設で知識とノウハウを教授する役割を担っています。
また、医師や看護師と連携を取り、利用者のニーズに合わせて適切な対応をとる事が求められています。このため介護分野では非常に重宝される資格とされています。

資格取得には主に4つのルートがありますが、「実務者研修」を修了するルートが一般的とされています。このルートは3年以上介護職に従事した者のみが実務者研修を受ける事ができます。

さらに実務者研修の中には「医療的ケア」という科目が含まれており、喀痰吸引・経管栄養はこの科目に含まれています。

医療的ケア

医療的ケアの中には「喀痰吸引・経管栄養」の講義と演習が含まれています。これは介護福祉士になるためには必ず学ばないといけませんが、修了したからといって実際に処置を行なえる訳ではありません。これとは別に「喀痰吸引等研修」という実地研修を修了する必要があります。

この喀痰吸引等研修を修了しないで処置を行った場合、社会福祉士及び介護福祉士法第45条により信用失墜行為違反となります。これは行政処分の対象となり、登録の取り消しや名称使用停止等が行われます。このような事が起きないためには喀痰吸引等研修を修了する必要があります。

喀痰吸引等研修

喀痰吸引等研修とは介護福祉士が、喀痰吸引・経管栄養を行う事ができるための実地研修となります。この研修を修了しないと処置を行う事が認められません。喀痰吸引等研修を修了したからといって直ぐに処置ができる訳でもなく、都道府県への申請が必要となります。

これに加えて就業先が「登録特定行為事業者」かつ「登録喀痰吸引等事業者」でなければ、喀痰吸引等の処置を行う事が許可されません。喀痰吸引は命に関わる可能性がある医療行為ですので、安易な気持ちで行うことは非常に危険です。必ず資格の確認と使用にあたって必要な許可を確認することを強くおすすめします。

研修の種類

喀痰吸引研修には第1号研修・第2号研修・第3号研修と3つの研修に分かれており、それぞれの研修には対象者と実行可能な行為が異なります。
第1号研修と第2号研修は不特定多数に実施できるのに対して、第3号研修は在宅の重度の障害者を対象としています。下記の箇所書きで解説します。

第1号研修

〇喀痰吸引(気管カニューレ内部・鼻腔内・口腔内)

〇経管栄養(腸ろうまたは胃ろう、経鼻)

対象者:不特定多数の利用者

第2号研修

〇喀痰吸引(鼻腔内・口腔内)

〇経管栄養(腸ろうまたは胃ろう)

対象者:不特定多数の利用者

第3号研修

〇喀痰吸引(気管カニューレ内部・鼻腔内・口腔内)

〇経管栄養(腸ろうまたは胃ろう、経鼻)

対象者:ALS(筋萎縮性側索硬化症)またはこれに類似する神経・筋疾患、遷延性意識障害、高位頚髄損傷、筋ジストロフィー、重症心身障害などを患っている療養患者や障害者

まとめ

介護福祉士になるには実務者研修を修了する必要があり、医療的ケアに含まれている喀痰吸引・経管栄養なども学ぶ必要があります。
また、実際処置を行うためには喀痰吸引等研修も修了する必要があり、何号の研修を履修するかを選択しなければなりません。適材適所に現場で働くためにはきちんとした知識が大切となります。