臨床心理士と公認心理師の違い~介護現場に求められる公認心理師の役割~

介護士の現場にも必要に応じて様々な働きが求められる昨今。高齢の利用者などの場合、認知症を患って入居されていることもあります。
そんな現場で認知症なのかうつ病かの判断に迷う方などを心理学的見地から判断することが重要度を増すでしょう。今回は、臨床心理士と公認心理師の違いと介護現場に求められる公認心理師の役割について解説します。

臨床心理士と公認心理師について

臨床心理士と公認心理師の違いについては以下の通りです。

公認心理師は、平成29年に公認心理士法が実施されたことで、翌年平成30年に出来た国家資格です。出来たばかりの国家資格なので、今後どのようになるかは運用されてある程度時間が経過してからでないと分からない部分が多々あります。

これに対して臨床心理士は民間資格ですので、双方の大きな違いを言うならば、民間資格であるか国家資格かです。今の時点では、臨床心理士と公認心理師のカリキュラムや働きから違いを見ることができますので、その辺のところを紹介しましょう。

カリキュラムの違い

臨床心理士は、修士課程2年のカリキュラムで育成します。臨床心理士は修士課程を終え大学院に通いながら修士論文を作成するなどの研究者としての能力の向上が求められます。臨床心理士は、民間資格になり5年ごとの資格更新新制度が決められていることが、公認心理師と違う点です。

公認心理師は、大学4年間と大学院修士課程の2年の計6年間の学びが求められカリキュラムが作られています。公認心理師のカリキュラムは臨床にあまり偏向しないように、万遍なく心理学や医学(精神医学)を学習できるよう構成されています。こういったことから、公認心理師は心理学の全般に関わる専門家として期待されています。

双方の働きの共通事項と相違事項

「共通事項」

両者共に、支援を要する方に心理査定(アセスメント)、相談援助業務(カウンセリング)、関係者への指導及び助言などを実施することが仕事の共通点です。また、精神保健福祉士など多職種と協力して支援を進めるケースもあります。

「相違事項」

両者の相違する支援は、臨床心理士が支援を要する方の価値観などを重んじながら人間の「心」の問題を改善あるいは解決をはかり、自身らしい生き方の実現を支援してゆきます。

一方、公認心理師は、保健医療から教育福祉、産業分野、さらに司法分野で心理に関わる支援をします。支援実施においては、他の職種との連携協力が公認心理士法で定められています。

介護現場における公認心理師の役割について

上記でも述べましたが、心理的ケアが必要な利用者の方及びその家族をサポートする役割を担います。高齢の利用者の方は、認知症、種々の喪失体験、自身の体が思うように動かせないことへのストレスなどから心に問題を抱えてしまうことがあります。

利用者のお話しを傾聴して、心理的ケアを行います。特に認知症とうつ病は似ている症状なので、ある例では、「うつ病だと思っていたけれど、認知症であって、それに気付いた頃は症状がかなり進んでいた」というケースもあります。

上記のようなケースの場合や非常に高度な医療判断が求められる現場にあっては、公認心理師の役割が期待されます。今後、国家資格が付与されたことで、介護福祉の場にも採用が義務づけられる可能性もあります。

まとめ

以上、臨床心理士と公認心理師の違いと介護現場に求められる公認心理師の役割についてご紹介しました。