長時間におよぶ残業が社会問題となっていますが、介護・福祉業界の職種である介護福祉士は残業が多いのでしょうか?
○意外にも少ない?介護福祉士の残業時間
(公財)介護労働安定センター 平成26年度介護労働実態調査「介護労働の現状について」によれば、常勤職員の介護・福祉業界の残業時間(1週間)は以下のようになっています。
●介護職員(介護福祉士含む)
・残業なし…49%
・5時間未満…26.8%
・5時間以上10時間未満…11%
・10時間以上…4.6%
・未回答…8.5%
●訪問介護職員(ヘルパー)
・残業なし…51.4%
・5時間未満…20.8%
・5時間以上10時間未満…10.5%
・10時間以上…5.7%
・未回答…11.6%
こちらは常勤職員ですが、非常勤職員ではさらに残業が少ないようです。
介護職員・訪問介護職員ともに1週間に1時間も残業していないという人が半数を占めています。介護・福祉分野は激務で残業が多いというイメージがあるかもしれませんが意外な結果となりました。
○介護福祉士の残業が少ない2つの理由とは?
①業務独占行為が少ない
介護職員は医師のように業務独占の行為(診察、注射、投薬など)がほとんどないため、仕事が残っていても次のシフトの人へ引き継ぐことが多いです。
終業時間直前に「ちょっと、この仕事やって!」と頼まれても代役を頼めるので残業になりにくいのです。そのため、子育て中の方は子どもの病気などで急に休みをとらないといけないときは比較的休みをとりやすいでしょう。
②書類業務が少ない
書類業務を行う事務職員や責任者、生活相談員等の仕事量にもよりますが、現場業務中心の介護福祉士は書類作業が少ないことが多いです。介護福祉士が行う書類業務といえば利用者様の生活や介護内容の記録が主になります。
最近はパソコン入力が主流となっており、介護・看護専用の管理システムを導入している事業所も多くなっています。これにより以前より書類業務に掛かる時間も少なくなりました。
○それでも残業が多い事業所も存在する!
介護福祉士は残業が少ない職種であると説明しましたが、それでも5%程度は週10時間以上の残業をしなくてはならない事業所もあります。特に職員の入れ替わりが多く、慢性的に職員が不足している事業所は残業が多くなりがちです。
常に職員を募集している事業所であったり、有料老人ホームであれば極端に利用者様の入居費用が安い事業所は人件費を削っている可能性があるため注意が必要です。