褥瘡は、その深さをDESIGN-Rで5段階に評価して状態を把握します。
浅い・深い褥瘡に大別することができますが、初期の褥瘡は、発症しているかどうかの判断があいまいになりやすく、正確な判断をすることができるまでに、1~数週間掛かることもあります。
〇褥瘡の深達度によっては外科的処置も
深い褥瘡は、皮膚が欠損して皮下脂肪や筋肉層、骨の表面が露出した状態、またはその周辺を肉芽細胞が覆っている状態をさします。
褥瘡治療を行う上で、皮膚を清潔に保ち、感染や炎症を予防することが大切ですが、組織がすでに感染していたり、壊死した細胞が残存していると、その周りにある細胞にも感染や壊死の影響が及びます。
そこで、膿をきれいに出し感染細胞を除去するためにデブリードマンを行って、予後を観察するという看護計画を立案することになります。
〇デブリードマン処置前の看護処置
感染が進んで膿が溜まっている、炎症が見られるような褥瘡の場合、創傷部分の浸出液量が増えることがあります。
褥瘡の治療には、湿潤環境を保持することが大切ですが、滲出液が多すぎると浸軟して、周りの皮膚にも影響します。
黒色化した壊死細胞がある褥瘡でも、滲出液がなければフィルム材で保護をして感染から創部を守る処置で良いでしょう。
感染の状態と、創部の確認は毎日行います。
特に、壊死細胞が見られる褥瘡の深い部分でさらに状態が悪化していないか、注意して創部を観察することが大事です。
患部と周辺の境界が溶解している・滲出液の量が増えた・出血がある、といった兆候は、創の深部で感染が進んでいる可能性が非常に高いです。
抗菌に効果のある外用薬(シュガーやポビドンヨード)を用いて進行を抑え、創部を洗浄します。
〇デブリードマン処置後の褥瘡観察と看護処置
褥瘡患部を切開して、膿や壊死細胞を除去した後は、骨や筋膜、筋肉層があらわになって感染リスクが高い状態です。
また、褥瘡の状態によっては、ポケットが形成されて、内の感染や壊死細胞の残存している場合もあります。
抗菌外用薬を塗布しながら、ドレッシング材を併用し、デブリードマンを行った箇所と周辺の状態を慎重に日々看護観察していく必要があります。
切開部分のポケットや凹凸に膿や壊死細胞が残らないように、速やかな清浄化を図る看護計画を立案し、褥瘡の状態に応じた看護をその時々で実践します。
デブリードマンを行うような深い褥瘡は、治癒までに数か月から一年以上かかる場合もあります。
そして、その間も他の好発部位で褥瘡が発生することが考えられます。
処置前後の創状態と合わせて、全身観察と看護を行うことが大切です。