褥瘡の不良肉芽を判断するときの指標になるのは?

褥瘡が発生したら、とにかくその傷が深くならないうちにケアするというのが治療の基本です。ごく初期の褥瘡であれば、皮膚の上層部分を修復して創傷部分を直すことのみで治癒に向かいます。しかし、上皮細胞を欠損し、真皮細胞の下にまで創が進むと、皮膚細胞の修復に時間が掛かります。
創傷部分の湿潤環境を保ち、新たな細胞の形成を促進させることが重要となりますが、欠損した内皮肉芽細胞が良い状態で形成されているかどうかを随時観察していきましょう。


○肉芽の評価と特徴
内皮細胞が順調に回復するか、これは良好な肉芽細胞が形成されているかによります。良好な肉芽とは、欠損してしまった細胞部分に新しく毛細血管が形成されて、線維芽細胞が増殖している粒状の密な組織状態を指します。
順調に線維芽細胞が増えて創の収縮と上皮化に進行すれば、創面を閉鎖して治癒にいたる、創部分の閉塞に欠かすことが出来ない過程とも言えます。

 
○良好肉芽と不良肉芽
褥瘡の治癒を目指すうえで、粒状に見える肉芽細胞が形成されれば良いという訳ではありません。肉芽の状態が良くなければ、細胞の増殖は抑えられて治療が長引くだけでなく、逆に創傷を悪化させるきっかけになってしまう事もあります。

 
●良好な肉芽の特徴は
傍目に、鮮やかなピンクまたは赤い色をし、てらてらと光っているようなツヤがある新鮮な細胞が見えていれば、その肉芽細胞は良好な状態を保っているといえます。
毛細血管が十分に張り巡らされ、加えて湿潤環境が整うことで、細胞形成に必要な条件を整えつつその効果が得られているといえます。

 
●不良な肉芽の特徴
線維芽細胞が活発に増殖していけば、その細胞を保護する上皮の形成も順調に行われますが、その間は肉芽細胞を保護するものが無く、いわばむき出しの状態ともいえます。
ドレッシング材で覆って皮下組織が形成されるのを待つ間に、肉芽細胞の色が黄色や蒼白に変化すれば、不良肉芽と判断します。不良肉芽は次第にツヤをなくし、浮腫状となって粒が大きく粗くなります。

 
○褥瘡部分の不良肉芽に必要な処置は
不良肉芽となった部分は、細胞を良好な状態に自力で回復させることが困難です。表面の壊死や肉芽からの過剰な滲出液分泌など、褥瘡の状態そのものを悪化させる危険があります。
壊死や感染が進むと、肉芽は脆弱になり悪臭も発生して痛みが強くなる傾向があります。患者の身体的状態とあわせて、肉芽が良好か不良かを判断することも大切です。
この状態を改善して、不良肉芽を減らすためにはメンテナンスでブリードマンの回数を増やして感染兆候が見られる肉芽を除去し、慢性創傷の状態にあったドレッシング材を適切に選ぶことが必要となります。
不良肉芽は取り除き、ツヤのある良好な肉芽の細胞を促進させるよう、観察と処置をこまめに継続していきましょう。