褥瘡の深度を測るには 検査と計測方法

褥瘡は深くなれば、治癒までに時間がかかってしまうだけではなく、炎症をおこして感染リスクが高まります。
ずれ力が大きくかかると、表面の創傷では判断できないポケットを形成し、腱や骨に壊死細胞を広げてしまうので、ポケットの全容を正しく判断し、適切な処置を行うことが大切です。


〇ポケット評価の定義は
皮下組織の下に広がっているポケットが、どのくらいの広さにまで大きくなっているかを計測します。DESIGN-Rによる検査計測方法として「褥瘡海洋面とポケットを含めた外径を描き、その長径と短径(長径と直交する最大径)を計測し、おのおのを掛け合わせた数値から「褥瘡の大きさで計測した数値」を差し引く」(引用:書籍「褥瘡治療・ケアの「こんなときどうする?」」2015年発行)と定義づけられています。

 
●ポケット褥瘡の検査と計測方法
ポケット形成をしている褥瘡の検査を行う専用の器具があり、それを使用して深度を測ります(Pライト)。傷口や肉芽細胞をなるべく損傷しないように作られている専用器具で、スケールチューブの先にライトがついているので、深部の暗い部分も観察しやすいように設計されています。
表面からは、どのくらいの深度に及んでいるかが判断しづらいポケットは、エコー画像(超音波)検査で観察し、皮膚の内部に広がった大きさや深さを調べます。
エコーや計測器具が使用できない場合は、綿棒ややわらかいチューブ(カテーテル)を使って、褥瘡に直接差し込み、その深さを測るという方法で検査します。

 
〇エコー検査と褥瘡の判定
超音波検査で褥瘡を観察した時、層の構造がはっきり見えるか見えないかが大きなポイントになります。
層の構造が鮮明にわかる場合は、皮下脂肪や筋膜、筋肉が正常であると判断します。不明瞭な層構造が見えたら、経過を注視する必要がある褥瘡として、さらに検査が必要です。

 
●検査で創境界を調べる
境界がはっきりしていれば、そのポケット全体の形を判定します。円状に見えればそれは皮下に溜まった水疱の可能性が高く、砂時計型や三角、左右非対称などのいびつな形をしていれば、創ポケットと断定し、内部構造を検査します。
境界がわかりづらい場合も、同じく内部を調べ、均一であれば肉芽細胞であることがわかります。内部の画像輝度にムラがある(低輝度と高輝度が混在している)なら、壊死組織があるということになります。
壊死細胞がポケットの中にあると、さらに深く侵攻し、悪化させるリスクがあるため、外科的処置を早急に行う必要があります。滲出液の量やにおいも細胞感染があるかどうかの判断材料として、とても重要です。
兆候を見逃さず、悪化リスクは極力早く取り除くように、丁寧に洗浄を行い壊死細胞を取り除きましょう。