敗血症とはどんな病気か、ご存知ですか。敗血症は、血液の中に細菌が入って全身に毒素が廻ることで体の抵抗力が落ち、内臓(腎臓や肺、肝臓など)に異常が起こってしまう病気です。
体の一部分が感染するレベルであれば、抗生物質を投与したり、患部を清潔に保ったりすることで予防や治療が可能ですが、全身に感染源の毒素がめぐってしまうと、命にかかわるケースもある重篤な状況となります。
なにより、敗血症を予防するためには、病院内での感染症予防が大切です。
○感染を防ぐために病院で行うことは
まず、患者一人ひとりの処置を行うごとに、手袋やマスクの装具を付け替え、手や腕を念入りに洗浄することが第一です。病院では、処置や治療のためにいろんな医療用具や装具を使用します。患部に触れるものの中でも、手袋や注射、点滴、カテーテルなどは、使用後の処理にも細心の注意を払わねばなりません。
●入院患者の感染と敗血症
救急や突発的な疾患の症状によって病院で集中治療を受ける場合、また、栄養、薬剤を経口摂取できない場合は点滴を使用します。
入院している高齢患者や、体の一部に麻痺や感覚神経の鈍くなった箇所へ、点滴を行う(末梢静脈ルートの確保)は、病棟看護師が行う手技のなかで一番多いのではないでしょうか。
●カテーテル関連の挿入前準備
静脈ルート挿入部位は、必ず清潔に保つこと。これは看護師にとって最も基本的なことですが、感染が起こった報告のおおくは血管内カテーテルが関連しており、ガイドラインも出ています。挿入前に清潔を保つために行いたい点は、
1. 患者さんが動ければ、両上肢を洗浄してもらう
2. 動けない患者さんは、明らかに汚れている箇所を見つけたら、上肢下にパッドやシーツを敷き洗い流す
3. 明らかな汚れが無ければ、アルコール消毒(従来どおり)
4. アルコール綿は、一度目は汚れ落とし、二度目以降は消毒目的で。綿を使いまわししないこと
○中心静脈カテーテルの挿入介助と敗血症予防
医師が必要に応じて行う中心静脈カテーテルの挿入を介助するのも、看護師の仕事のひとつです。この際は、無菌状態で行う必要があります。
●医師の選定した挿入場所を正しく理解
中心静脈カテーテルは、およそ挿入場所が決まっています。そして太い血管上大静脈、下大静脈にアプローチするためには、挿入場所がそれぞれ異なります。
中心静脈カテーテルは、太い血管に挿入してその効果をあげる目的があると同時に、一度感染してしまうと全身に菌の周りが早く、敗血症を起こしやすくなります。
医師のジャッジした挿入箇所の、どこを洗浄して感染予防するのかを、的確に正しく理解して処置準備を行うことが求められます。