褥瘡の発生率にまつわる統計と結果 全国平均は

褥瘡については、在宅介護や在宅療養だけにとどまらず、病院や診療所、ケアセンターなどの医療・福祉関係機関でも十分な注意、そして予防対策が必要になります。
計画的、段階的に、それぞれの人に沿った形で褥瘡の予防を行うことが大切ですが、定期的に個別のケアを行っていくことはとても簡単ではありません。
褥瘡への対策が必要だという認識が広まりつつありますが、以前は入院している病院の患者でも充分な対策が採られていませんでした。
褥瘡に対する管理とケアの重要性を全国の診療所や医療施設が認知し始めています。


○褥瘡発生率の統計とそのとり方
一般的に統計を取って結果を表すときには、統計元となる全体数と、実際にひとつのテーマを取り上げてその条件に合致した数が必要です。(例:全入院患者・・・全体数 のうち褥瘡を発症した数・・・条件)
しかし、日本褥瘡学界が中心となって統計を取っている、褥瘡の発症率については、2006年の統計調査が初回であるということと、現在まだ褥瘡に対して、充分な取り組みをシステム化している診療機関が前提となるほどの数に達していないというところを留意しておかねばなりません。

 
○褥瘡の推定発生率と考察
学会が褥瘡の実態調査と対策のために行っているアンケートでは、協力をお願いした医院のうち35パーセント強の回答を得て統計化しています。
実測の数値を発生率に当てはめて、褥瘡を考察するには充分とはいえない回答数の様にも思えますが、どこで、どの部位に褥瘡が発生する割合が高いかを知ることで、注意すべき点や改善策が見えてきます。

 
○褥瘡発生率の全国平均は
一般病院2.2%。これが褥瘡(推定)発生率の全国平均です、と聞くと、少ないと思いますか。それとも多いと感じますか?2012年度調査の結果がこれですが、実は前回調査(2010年)では一般病院での褥瘡(推定)発生率は2.94%でした。
診療報酬算定の改定が行われた2012年に、それまでの発生率から減少に転じたという点は一つの結果といえるでしょう。かつて、褥瘡に関する調査が実施されるまでは、4%を超える発症率だったという統計もあります。褥瘡についてのリスクと予防意識が広まっていると評価できますね。

 
●全国の平均推定発生率(療養場所)
医療・療養場所ごとに、褥瘡がおこる場面や可能性は異なるはずです。それぞれの療養場所にどんな特徴があって、どのように対策すべきか、という点を探るためにも、療養場所ごとの発生率全国平均を見ましょう。
2010年に実施した第二回目の褥瘡発生調査では、訪問看護ステーションが、褥瘡有病率・推定発生率ともに高い結果でした。同様に三回目の調査でも訪問看護ステーションでは、他の期間と比べて推定発生率が高かったのですが、前回と比べてその割合が半数近くになり、発生数が激減しています(2.08%)
褥瘡の発生は、毎日のケアを継続していくことがとても大切です。そのなかで、どんな取り組みをして全体の発症数を抑えるか。これは各医院や診療期間、福祉施設によって違いが出やすいところでしょう。