寝たきりの姿勢と背中への配慮 楽なポジションを探ろう

一般的に臥床位の姿勢を執ることが多くなる寝たきりの患者は、骨の突出部分が寝具にあたる背中の肩甲骨部分や腰骨の褥瘡回避がなにより大切です。

褥瘡の発症を抑えるためには、定期的に体位変換を行うのが有効だということはよく知られていますが、単に体位を変えるだけでは取り除けない問題もあります。
臥床位ですごす寝たきりの患者は、楽な姿勢をとるために自ら体位を変えることがあります。ポジショニング移動をしても、楽な姿勢をとり続ければその効果は半減してしまうでしょう。

 
〇寝たきり患者の好みの姿勢を知る
毎回きちんと体位変換をしているはずなのに、次回介助をするときには必ず前の姿勢に戻ってしまい、背中の同じ個所を圧迫してしまっている…介護の現場や、入院患者の経過観察をしていると、このような体験は珍しくないようです。

 
●寝たきりの姿勢と習慣をアセスメントする
ずっと寝たきりの姿勢で日々を過ごす人には、同じ姿勢に戻りたい理由があるはずです。体が多少なりとも自由に動かせる患者の場合、特に自分が楽に感じる姿勢に無意識で体位を変えてしまうこともあります。
たとえば、背中の左反面にやや傾斜をつけ、圧迫を取り除くポジショニングを行ったとします。部屋の入り口が患者の右側にある、テレビや窓などが右側に配置されている・利き手が右…というように、多少なりとも右側に意識が集中するものがあるときには、右側に注意が働き、自然と体が右に向くほうが楽に感じるでしょう。
背中を傾ける方向と、寝たきり患者のベッド周辺環境を見直すと、体位変換の効果を維持しながら患者も楽に過ごせるようになるきっかけや要因が見えてきます。

 
●身体の病態と寝たきりの姿勢保持
半身まひがある場合や、片麻痺と利き手の自由度によって、どちらかに体位が偏る場合もあります。麻痺のないほうを頻繁に動かすことになると、麻痺があるほうの背中と反対の、利き手側に圧迫やずれ力が大きくなります。
麻痺がないほうの手足を、力を入れて頻繁に動かすため、姿勢を崩して体位も崩れるといったケースはよく見受けます。

 
○寝たきりの姿勢保持に用いる寝具を選ぶ
ポジショニングピローの厚さや硬さが好ましくないとき、患者自身がその姿勢に無理を感じると、楽に過ごせない窮屈感が起き、自分でピローを外して臥床位に戻ってしまうこともあります。特に背中に入れるピローは、患者が窮屈に感じないように配慮して、良肢位を支える程度の厚みにしておくように心がけましょう。
同じ姿勢で過ごす寝たきりの患者へは、特に臥床位時の背中に褥瘡が起こらないようにしながら、できるだけ楽に過ごせるポジションを探るようにしましょう。