寝たきりの人を支えるために 回復を促す介護を

歳を重ねれば、体の不調があちこちに現れてくるものです。
膝や腰の関節が痛むようになった、病気やケガの直りが遅い、立ち上がる時に「よっこいしょ」と掛け声をかけなければ動けない…
ちょっとした体の不調は、早い人なら40代あたりから、身体機能の低下を実感し始めます。
だれでも年を取ります。ただ、同じように時を過ごすならば、少しでも長く、楽しく過ごしたいと願うのは当然でしょう。


〇寝たきりになってしまう前に
体の動きか緩慢になってきたと自覚するタイミングは、日々の体の使い方や栄養管理、運動機能の維持に対してどれくらいの配慮をしたかによりますし、感じ方は人それぞれです。
しかし、毎日健康に過ごしてきたはずの生活が、ある病気を患ったり、(脊髄損傷や神経系のマヒなどによって)体を動かす自由を奪われた瞬間から、突如一変することがあります。
人はいつしか寿命を全うして死を迎えます。長い人生の間で、いろんな経験や病気、不自由なことも起こるでしょう。その時に、まずは先の将来にどのような生活をしたいか、そのために今するべきことは何かを考えられれば、未来に希望を持てるようになります。

 
〇寝たきり回避が寿命を延ばす
体の機能は、使わなければ低下していきます。全身運動が難しければ、局所運動でも構わないので、「体を動かす」ことを続けましょう。これは、寝たきり回避にもつながります。
体を動かすことによって、全身の血流が促されます。血液は、全身に栄養と機能維持に必要な成分を運ぶ上で非常に重要です。血流が阻害されれば、必要な成分や栄養分が不足し、さらに機能や回復を低下させてしまいます。やがて疾患も進み、動かすこともままならず、寝たきりになれば寿命もその分短くなってしまいます。
寝たきりにしないためのリハビリは、寿命を伸ばすという点からみても必要なのです。

 
〇寝たきりにならない 先の自分に理想を持つ
体が動かしづらくなったと感じたとき、その動かしづらさや痛みに対して、どう向き合っていけばいいのかを、まずは前向きに考えることが大切です。
意識がしっかりしているなら、今よりももっと楽に、スムーズに体や部位を動かすことができるように、リハビリやトレーニング、運動を無理のない範囲で取り入れましょう。
どんどん衰えていくことに不安を抱くのではなく、この先どんなことをしたいか。プラスのイメージと理想の生活を考えて、日々過ごしていくのがポイントとなります。

 
〇寝たきりの介護を担う人の働きかけ
寝たきりの人を介護する家族やワーカーの働きかけも大切です。寝たきりになって本当につらいのはその本人のはず。とはいっても、毎日お世話をし続ける苦労を思えば、寝たきりの体から、少しでも自立機能を取り戻すことで、双方がもっと楽に楽しく生活できるはずです。
モチベーションを保つことは難しいでしょうが、少しでも現状より前向きに、チャレンジできるきっかけを見つけて、機能を保つ取り組みを働きかけていきましょう。

 
〇体の不具合には制度を上手く利用して
一度寝たきりの生活が始まると、その後に自立した生活を取り戻すのは非常に難しくなります。動かせる部位は、なるべく動かして、可動域を残しておきましょう。
もし、身体機能が失われたり、疾患によって動きに制限があったり、健康管理が欠かせない状態になったら、要介護認定や身体障害認定を得て、介護保険を上手に使いながら生活維持を心がけましょう。