寝たきりになることで現れる様々な症状について

人間は、活動している間を立位で過ごし、身体を起こした状態でこそ順調に活動する臓器や身体機能がたくさんあります。
その活動を支えるために、必要な栄養を食事で取り入れ、筋肉や神経、脳を休ませるために休息を必要とします。
活動期と休息期を一日のうちに繰り返して、人の身体は正常に保たれるといっていいでしょう。このバランスを崩す原因となるのが「寝たきり」です。


〇寝たきりになることで体に起こる変化
それまでは普通に自立して生活を送れていた人が、不意の事故や病気の発症などをきっかけにして、体を起こす時間よりも横たえる時間のほうが長くなる生活に代わることがあります。
同じように、何十年もかけて体が衰えを続け、身体老化を原因として、立位をキープする時間がどんどん短くなり、結果として寝たきりになることも考えられます。
体を起こして活動する時間には、自律神経の交感神経が優位にはたらいて活動的になり、体を横たえる時間は、副交感神経が優位となって、体を休息モードにします。このバランスが壊れると、昼夜が逆転する、血圧の不安定、不眠、起立性低血圧などの症状が現れます。
さらに、自律神経のバランスが崩れると、めまいや頭痛、食欲不振や神経過敏などの症状が現れやすくなります。身体機能に大きく関わってはいないものの、不調と訴える回数も増え、自立活動の機会を奪ってしまうことになります。

 
〇身体を動かさないことで現れる症状
身体機能は、刺激を受けること・栄養を供給することで維持されます。特に、筋肉や骨は、毎日使うエネルギーと熱量を、血管を通して供給される栄養分で補いながら、その機能と細胞を維持しています。
寝たきりの状態が長くなると、血流阻害が局所で起こりやすくなります。これによって、圧迫している箇所で床ずれを起こしやすくなり、皮膚の損傷やびらんを起こすリスクが高まります。
体を横たえた寝たきりの姿勢は「静」の状態です。手足を動かす機会が圧倒的に減少します。立って歩いたり、指先を使ったりしない間が長くなると、手足の筋肉に刺激がおこらず、血流が減って必要な栄養が届きにくくなるばかりでなく、どんどん痩せが進行していきます。

 
〇内臓機能も寝たきりで不良になる
寝たきりで過ごしていると、体全体を動かすことが少なくなります。食欲が湧かずに十分な食事をとれない人も多いですが、食事量が減ると摂取する水分量も減少します。寝たきりの人は、便秘の症状を訴える人が非常に多いです。
便秘になると、腸内に不要の老廃物を貯めこんでしまい、おなかが張って不快感が高まります。更に、便秘によって悪玉菌が腸内に増殖し、便秘の症状から抜け出せなくなってしまいます。
摂取水分量が少ないと、血がどろどろになりやすく、血流がスムーズでなくなるため、血管に血栓ができて最悪の場合は、脳梗塞や虚血性疾患を起こすリスクも高まります。