ひと昔前までは、施設において褥瘡(床ずれ)は、人手不足で体位交換がおろそかになり、同じ姿勢をとり続けた場合などが原因でおこるものだと認知されていました。しかし近年の研究で、その他、栄養不良も大きく関係していることがわかってきました。また、褥瘡になる原因は、様々な要因が複合的に関係しておこりますが、そこで今回は、褥瘡の予防や改善に大きな役割を果たすビタミンやその他の栄養素について解説したいと思います。
■ビタミンその他の栄養素の欠乏でおこる症状
◎ビタミンA
上皮組織の角化症、成長障害、骨や歯の形成、阻害夜盲症
◎ビタミンC
創傷治癒遅延、食欲不振、貧血、皮膚乾燥、倦怠感、壊血症
◎ビタミンE
溶結性貧血、過酸化脂質生産
◎亜鉛
創傷治癒遅延、免疫能低下、味覚異常、食欲不振、皮疹、うつ状態、成長遅延、感覚機能異常
◎銅
低色素性貧血、毛髪の色素脱出
◎鉄
鉄欠乏性貧血、倦怠感、免疫低下
◎セロム
克山病、不整脈、成長阻害、筋肉萎縮症、骨関節症、皮膚乾燥
◎クロム
耐糖能異常、成長障害、角膜疾患、動脈硬化、高コレステロール血症
この様なビタミンや微量の栄養素は不足することで創傷治癒が遅くなるばかりでなく褥瘡の肉芽形成をする過程で補助的な役割を果たしています。
■褥瘡予防に必要な栄養素
食事をとることで食物がエネルギーに変わり、体の組織や細胞をつくり、機能を維持することができます。主にエネルギー源となる炭水化物・脂質・たんぱく質・ミネラル・ビタミンなどの5大栄養素をしっかり摂取して、栄養管理や体重管理をすることが大切です。
■ビタミンの重要性
ビタミンは褥瘡の予防と治癒にとても大切な役割を持っています。ビタミンAは、コラーゲンの合成や再構築、上皮形成、ビタミンCはコラーゲンの生成や強度の増強に作用します。それらビタミンの中でも、ビタミンEは抹消血管を拡張し血液の循環を良くして、抗酸化作用や体内の脂肪の酸化予防、老化や動脈硬化を予防する働きがあります。
■亜鉛の重要性
近年ビタミン以外にも亜鉛が免疫機能の維持、各細胞や組織の代謝促進に必要な栄養素であることが発表され、皮膚の新陳代謝に作用して創傷部の修復を促進する作用があることがわかってきました。これにより褥瘡が治癒促進した報告がありました。
■まとめ
これまでみてきましたビタミンやその他の栄養素が褥瘡の予防にも効果があるだけでなく、治癒していく過程でも重要な栄養素だということがおわかりになったと思います。褥瘡の治療や予防で大切なことは、たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、亜鉛、鉄などの栄養素をバランスよく摂取することが重要です。
褥瘡ケアには効率的な予防・改善を期待できる、Relafeelの併用も検討することをお勧めします。