床ずれは寝たきりだけじゃない座位の仙骨部とバランス

 足腰が弱り、自立歩行が難しい高齢者や、脊髄等損傷によってマヒを生じた患者は、車いすを用いた生活が中心となります。
 ずっと座りっぱなし、または寝たきりの状態が続くと、床ずれを起こすリスクも高まります。時間経過や体勢への配慮を常に意識し、定期的に体位変換を行いましょう。

〇姿勢変換を行えない人の仙骨圧迫

 自分で体勢変換ができない人が、ずっと同じ姿勢で過ごす時間が長くなると、局所への圧迫が増して床ずれを起こしやすくなります。とくに、車いすやベッドで座位を取る場合は、短いサイクルで荷重変換を行いましょう。
 持ち上げてすぐ下す、背抜きをさっと短時間で行うというより、プッシュアップタイムを15秒程度で。圧迫によっておこった血流障害を解消させるためには、少なくとも10秒以上の時間をかけて荷重変換をしましょう。

●仙骨座りに注意 床ずれ好発部の除圧

 高齢者は、背筋が前傾に湾曲して、仙骨が後方に傾いた「仙骨座り」を無意識に行う傾向があります。この場合、座面に尾骨が直接当たってしまい、尾骨部に床ずれを起こすリスクが高まります。
 仙骨座りはまた、恥骨部の接触圧が高くなり、坐骨結節や大転子の接触圧も高まります。
 骨盤の傾き(前後傾や左右傾)加減に注意をして、局所の負荷を高めないように除圧する方法を検討しましょう。

〇仙骨圧迫を予防する 座位バランスとクッション

 自力歩行が困難な人でも、上肢を動かすことができれば、移動や移乗以外に介助の手を必要とするシーンは減るでしょう。しかし、上半身が動くことによって、座面に接した部分に細かなずれ力や圧迫がかかる局所が出てきます。
 そこで、仙骨から尾骨部分をしっかりと安定させて、座位バランスを保つために、適切なクッションを選択しましょう。ただし、かつては使用されることが多かった円座は、皮膚軟部組織に圧迫が生じ、座位バランスの安定につながらないため使用しないようにします。

〇無理な姿勢をとらせない 仙骨圧迫をさせない

 車いすやベッド、福祉装具の活用は、患者の身体に合えば非常に有効ですが、少しでも患者に無理や我慢を強いるような姿勢になれば、かえって床ずれを起こすリスクが上がります。
 単に導入すればいいのではなく、必要に応じて調整や改良、用具の追加を行いながら、無理な体勢を取らせずに、楽な姿勢をキープすることが大切です。
 座位が安定すれば、座った姿勢で違和感が生じません。定期的な体位変換を行って除圧と血流回復をすることで、床ずれの予防につながります。
 仙骨部は、座位の姿勢を取ると体圧が集中し、ずれ力の影響を受けやすくなります。可動域や関節の動きを考慮して、無理なく除圧する方法を患者ごとに検討しましょう。