床ずれ防止のポジショニング 寝返りによるズレを軽減するために

体の一部または全部を、自分の思い通りに動かせないという状況は、健常の人には到底想像しづらく辛いことです。
全身の感覚がマヒしている人は、自分の身体に床ずれが起っていることや、その傷の具合を知ることができないうちに、様々な治療や処置を繰り返すことに不安を覚えるでしょう。
痛覚がある人は、局所が圧迫されることによるしびれや、床ずれが起った部分の擦れる痛みと疼痛に耐えることが日常になってしまいます。少しでも痛みを軽減し、快適だと思える生活に戻すには、圧迫やずれを解消し、しびれや床ずれを起こさないポジショニングを定期的に繰り返すことが大切です。

〇寝返りをする間隔と筋肉の緊張を理解する

床ずれを予防するための体位変換は、日本褥瘡学会の指針によると、「2時間に一度のペース」で行うのが理想だとされています。近年、福祉用具が充実し性能も上がっているため、必ずしも2時間という枠にとらわれる必要はないという説もありますが、介助を必要とする人は、同じ姿勢のままで過ごしていると、少なからず局所の圧迫に対して違和感や痛み、しびれを感じています。また、一定の姿勢を保っていると、体の一部筋肉が緊張状態になります。

不快な状態になると、無意識で行うのが寝返りです。身体を少しでも快適な状態にするために、体の違和感を排除しようとすることで起こる寝返りこそ、床ずれを起こす原因となり得る点に注意しましょう。

〇寝返りから床ずれが起こるメカニズム

床ずれは、圧迫とズレによって発症しやすい皮膚疾患です。こまめに体位変換をして局所にかかる重みを除圧しても、床ずれの予防としてこれが万全とは言えません。

体位変換や移乗の際に介助を要する人でも、残存機能が働けば寝返りを打つことができるでしょう。不快な状態を脱するために、わずかに体を動かすことも考えられます。

体の一部が車イスやベッドに接地している場合、寝返りをうったり体をわずかに動かそうとすると、接地しているうちの一部を力点にして体を浮かせます。除圧したい部分を浮かせて接地面から離す際、力点となる部分には体重がかかり、身体を動かすときには「ねじれ」の動きが加わります。

寝返りをするときに力点となるのは骨の突出部分が多く、圧迫とねじれによる皮膚の伸びとズレが一度に生じるため、床ずれを起こしやすくなるのです。

身体を大きく動かす寝返りに限らず、わずかな不快感を解消するために体を浮かせるという動きも床ずれをおこす原因となります。少しでも不快な体勢にならない取り組みと、福祉用具の利用を検討しましょう。そして、介助や介護を担う人は、常に患者の全身に注意を注ぎ、皮膚の擦れや赤み、水疱などの皮膚異常がないか継続して観察しましょう。