褥瘡リスクの備え 発生条件を知り兆候を見逃さないこと

褥瘡は一度発生すると、完治するまでの諸条件を整えることが非常に困難な皮膚の疾患といえます。
発生するまでにいろんな環境条件が絡みあい、それに加えて患者本人の身体状態や、介助を受けられる状態か否かなど、複雑に色んな条件を総合的に判断して、臨機応変にケアしていくことが重要です。
しかし、連日に渡って介護を行う人にとっては、患者の身体状態を観察して、起こった褥瘡の処置を繰り返すことで精一杯だというのが実情でしょう。


○褥瘡が発生した時の兆候を見る
褥瘡が疑われるような皮膚の兆候を、まずは見逃さないことが大切です。褥瘡予防ケアを全身くまなく行うのは、簡単な事ではありません。
しかし、絶えず褥瘡は起こるリスクと直面しています。そのため、発生兆候を介助人がきちんと理解して、できれば初期段階の処置が不要な状態の時に発見するのが望ましいです。

 
●褥瘡の兆候で最も多いのは「痺れ」と「痛み」
褥瘡が起こる原因となる代表例は「圧迫とずれ」です。座りっぱなし・寝たきりの患者は、身体の一部が常に体の重みでベッドや椅子に押しつけられています。圧迫面は血流が悪くなり、筋肉や皮膚組織に十分な血液が送られなくなることで、痺れを感じ始めます。
正座のままで長時間過ごすと、足がしびれて感覚がマヒし、思うように動かしたり立ち上がったりできなくなる状態を想像すると分かりやすいでしょう。足先がしびれて、ほんの少し触っただけでも過敏に圧を感じます。
これは、完全に血流が不足している状態です。この状態が長く続くと、次第に圧迫が大きいふくらはぎ裏やくるぶしが当たる大腿筋、膝の皿がある突起部関節当たりが、赤くなってきて水疱や斑赤が現れます。
正座の例のように、圧迫が続く場所の痺れから始まり、痛みに代わり(その痺れを解消するために小刻みな動きをして皮膚が擦れ)水疱や発赤が出る。これが褥瘡発生の代表的な流れです。

 
○身体疾患と褥瘡兆候
特に寝たきりのお年寄りは、皮膚や身体の感覚神経が鈍っていたり、神経系疾患によってマヒがある場合があります。このような人は、自分で痛みや痺れを感知できない為、気付かないうちに深刻な褥瘡が起こっていたという事もあります。
入浴や着替えを毎日行っていれば、全身の観察や褥瘡発見もスムーズに行えますが、週に数度の介助入浴等では、発見が遅くなるリスクが高まります。
マヒや痺れを伴う疾患患者や、栄養を十分に摂取できない方(嚥下やそしゃくに問題があり、十分に食事を取ることができない人など)、腎臓や肝臓の機能不全を疾患で抱えている人などは、身体状態から褥瘡を発生させるリスクが高いといえます。
前述した嫌みや痺れ以外にも、褥瘡が元で皮膚が炎症を起こし患部が腫れて熱っぽさがある・機嫌が悪い・食欲が低下しているという様子が気になる場合も、褥瘡の兆候として捉えて、発生リスクを予見してみましょう。