褥瘡が引き起こす血液循環阻害と栄養状態アセスメント

局所の圧迫が原因となり、血液の循環を悪くすることでうっ血、赤みを引き起こすことが引き金となって褥瘡は発症します。特に寝たきりや車いす生活を送る患者にとっては、同じ姿勢を保持する時間が長くなるため、褥瘡が発生しやすく、また治癒までの経過観察期間が長くなるため、看護計画を含めたトータルアシストがとても重要になります。まずは褥瘡を予防し、また発症した褥瘡の治癒促進のために大切な栄養管理を中心に、観察していくポイントを紹介します。

○褥瘡発生の元 低栄養状態を確認

褥瘡は、長時間の局部圧迫が直接的な原因となりますが、栄養が充分な血液が体内を循環していれば、創傷の治りも早くなります。しかし、入院が長くなりがちな寝たきり患者や、特定疾患により経口摂取が難しい場合は、バランスの良い食事を取ることができず、低栄養状態になりやすいという点に注意が必要です。

●栄養管理と血液管理

充分な栄養が摂取出来れば、血液状態も良くなります。また循環血液に体力維持と自然治癒力が可能なほどの栄養が備わっているかを、血液成分と体調管理によって推測し観察することが大切です。高齢者は、低栄養状態がすぐに体重や血液数値に表れやすいため、随時観察を行い、およそ3ヶ月単位でのスクリーニングを実施しましょう。

●高齢者は簡易栄養状態評価表を用いて

充分な栄養を摂取することができているかを確認するための指標として用いる「簡易栄養状態評価」の項目に沿って、実際の栄養状態を考察し、褥瘡の治癒を早めるための策を栄養補助からも探ります。

・過去三ヶ月の食欲不振や消化器系の問題、咀嚼、嚥下障害による食事量の低下

・体重の減少(体重減少が1~3キログラム)

・自力歩行が可能か

・精神的なストレスや急性疾患の経験

・神経的、精神的問題があったか(認知症の強度・中度発症やうつ病)

・BMI数値(体重÷身長二乗)

●スクリーニングで注意する項目と数値

簡易栄養状態評価表項目に該当し、特に体重が過去半年で10パーセント以上減少したり、2週間で体重減少を確認したりすることがあれば、一時的また慢性的に食事量が減少し、栄養状態が低下していると考えてよいでしょう。食事量が減る原因はいくつかありますが、食欲が湧かないという場合は、身体に何らかの異常があるサインです。食事量が減少した時は、内臓疾患や精神面からの原因もあわせて観察し、環境を整えてケアを行う事が大切です。血液検査を同時に実施し、アルブミンやヘモグロビン値を確認します。栄養状態が低下しているかどうかは、総リンパ数や総コレステロールの値で確認します。