床ずれ治療と診察はかかりつけ医と皮膚科の連携でクリア

高齢者や長期療養を必要とする疾患を患った患者は、床ずれの発症と治療も合わせて行うケースが多くなります。ねたきりの状態が長くなる、同じ姿勢で過ごす時間が長いといった環境が、床ずれを起こしやすくするからです。
床ずれ予防のために、さまざまな福祉関連グッズも販売されています。しかし、発症した床ずれを治癒に向かわせるためには、正しい治療と患者の疾患を合わせて考えることが大切です。


〇床ずれを起こす関連疾患がある
皮膚の状態が悪くなった時、まず訪れるのは皮膚科でしょう。床ずれの症状は、皮膚表面のただれや発疹、水疱だけではなく、滲出液や化膿に対するケアが必要になります。
床ずれの直接的な原因は、「体圧」と「ずれ力」です。しかし、床ずれ患者の身体状態や年齢、治療中の疾患など、さまざまな要因も関係します。
なかでも、床ずれを発生しやすい疾患があることに注意が必要です。骨盤骨折や脊髄損傷、糖尿病、脳血管疾患がその代表といえます。
とくに、慢性期脊髄損傷の患者は、日常の体位に気を付けていても感覚がマヒしていることで床ずれに気付かず、悪化させてしまう可能性が高いと言われています。

 
〇床ずれの危険が高い疾患は
皮膚表面の状態を観察して皮膚科治療を行っても、完治せずに症状が悪化しやすい患者がいます。たとえば、悪性腫瘍やアルツハイマー病、末梢血管疾患を患っている人は、その基礎疾患を改善するために服用する薬や治療によって、皮膚、血液の状態が健常なひとと異なる場合があるため、通常の治療や観察より十分な注意が求められます。
皮膚科を受診する際には、治療中の疾患と服用している薬を伝え、必要であればかかりつけ医にも情報提供をお願いするといいでしょう。

 
〇自己判断は禁物 皮膚科と、かかりつけ医に相談を
通院しながら疾患の治療を続けている人や、在宅看護・介護をしている場合、ちょっとした皮膚の変化(床ずれ)が起こっていても「大丈夫だろう、そのうち治る」と思いがちです。
闘病している疾患の治療が優先されるべきでしょうが、床ずれの創面が炎症を起こしたり感染したりすると、痛みや疼きに悩まされる原因が増えてしまいます。さらに、感染が局所から全身に広がると、重篤な状態を招く可能性もあります。
皮膚科は、皮膚の状態を診療し、適切な治療を行う専門科です。ただ、深部に至る床ずれは外科的な処置が必要になることもあるので、場合によっては提携医療施設やかかりつけ医で内科・外科の診療も行える環境が望ましいでしょう。
治療中の疾患を持つ人は、包括的に全身の治療を行うことが大切です。あらゆるリスクを考えて、床ずれを軽んじずにしっかりと治療し、完治させましょう。