敗血症によくある兆し 治療と白血球減少の関係

体の内部は、環境や条件に沿って状態が常に変化しています。順調に治療が進んでいると思っていても、元となる体が弱まってしまうと、そのすきに思わぬ病気を発症することがあります。
特に感染症には注意が必要です。体の一部分に感染や炎症症状がある場合、その感染が局所から全身に広がって、命を落としかねない状況を招く危険性もあります。


〇白血球の数値と炎症修復のしくみ
血液成分のうち、炎症や感染に反応するのが白血球とCRP値です。局所に炎症がおこると、白血球が破壊された組織を修復するために動員されます。そして、修復に必要な細胞や物質を体内から集めようとするためのシグナル伝達物質が放出されます。この伝達物質はサイトカインと呼ばれます。
傷の修復にはたんぱく質が主成分として必要です。サイトカインの放出によって、肝臓でタンパク質が合成されますが、このたんぱく質の一種がCRP。よって、炎症反応が起こっているかどうかの指標としてCRP値に注目します。

 
〇敗血症の発症と白血球の減少
敗血症は、炎症を引き起こす感染巣が血中に入り込み、血流にのって全身にめぐることによって他臓器に悪影響を及ぼしている状態をさします。
感染した血液が全身にめぐっている状態は「菌血症」といいます。
全身に現れる症状を止め、回復するように治療を行うためには、その感染巣に効果がある抗菌薬を投与し無ければなりません。一時的に症状を和らげる薬を繰り返し使用しても、根絶は難しいでしょう。状態が徐々に悪化して重篤化してしまいます。

 
●抗菌薬の効果を白血球数で確認
炎症反応を検知するにはCRPの値を見ることが有効です。ただ、敗血症などの感染症治療を開始して抗菌薬の効き具合を測るためには、まず白血球数を確認するのが良いでしょう。
CRP値が変化(感染後に増加)するのは、感染からおよそ半日後から。ピークに達するのはおよそ2日後といわれています。数値が増加または減少するまでにタイムラグがあるのです。
他方、白血球数は、炎症に対して最も敏感に反応します。体が感染を確認してから数時間程度で数値になって現れます。よって、炎症反応の状態や感染巣の特定、抗菌薬の効果を測る際に、白血球数の増減を観察する必要があります。

 
〇敗血症治療効果と白血球数の減少
菌血症や敗血症の治療には、感染元に効果がある薬を使い、菌の根絶を計らねばなりません。菌の特定ができない間、様々な感染の疑いが生じるでしょうが、やみくもに抗生物質を投与してはなりません。長期的に複数の抗生物質を投与すると、体内に耐性菌を生む可能性もあります。
効果が得られるはずの薬が効かなくなってしまうリスクを鑑み、抗菌薬の特定は迅速に根拠をもっておこないましょう。
抗菌薬投与による治療の効果が表れているかどうか。血中成分の「白血球数の減少につづいてCRP値も減少」するのが判断のポイントです。この推移を見ながら薬投与または中止の目安にしましょう。