床ずれの治療と栄養の管理 必要な6つのポイントとは

床ずれの治療に欠かせないといわれる「処置」と「清潔環境」は、創傷部分の回復を図るなかでも直接的な行為です。キズの直りをよくするために薬を用い、感染や炎症を抑えながら治療を続けていると、創傷の具合を確認しながら良しあしを判断しやすいですね。
しかし、薬を塗布して経過を見るだけでは、体の傷を治療するという面で言えば完全とは言えません。体の状態を万全に整え、そのうえで環境を良くしながら効果的な薬を使用し、処置を行うことで床ずれと向き合っていると言えるのではないでしょうか。


〇床ずれ患者の身体状態と栄養管理
決して褥瘡を発症している患者に限ったことではありませんが、体の一部に創傷がある(または外科的手術後、内臓疾患等)患者に対して、栄養管理は必須です。
健康な体で毎日を過ごしている健常者でも、体に取り入れる栄養や食物バランスには気を配るでしょう。体の一部または広範囲を患った人は、健康な状態よりも栄養を取りづらく、量も限られます。

 
●床ずれの起こりと栄養不足の関係
日常のふとした不調から寝たきりになってしまうということが、特に高齢者では起こりえます。足を骨折した、肺炎を起こした、ぎっくり腰になった…など、寝たきりになってしまうほどの怪我や病気と思えないようなことがきっかけとなって体が動かせなくなり、身体能力が減退します。
特に、床ずれのように痛みを伴うケガや病気の場合、食欲の低下を招きやすくなる傾向があります。痛みが負担になり、気分も落ち込んで前向きに行動する意欲をそいでしまいます。動かなくなれば食欲もわきません。食べるものがおいしく感じられない、量が食べられない…と、栄養状態が悪化するきっかけにもなってしまいます。

 
〇床ずれと栄養管理
床ずれのような長期的治療を要する身体状態の場合、食事の量とバランスも同じく長期的に観察して、心身状態を少しでもいい方向にもっていくための工夫や改善が必要になります。

 
●栄養スクリーニングとアセスメント
患者それぞれの食事変化や摂取状況を把握しておきましょう。そのうえで栄養不良と思われる人をピックアップし、血清アルブミン値などを指標にしながら、栄養状態を評価して障害の程度を確認します。

 
●床ずれと栄養の管理計画を立案
褥瘡の経過観察と並行して、栄養管理計画を立てます。経口摂取が難しい人は特に栄養補給の方法や補給量、成分の目標値を設定します。

 
●モニタリングと栄養評価
アセスメントの定期モニタリングを行い、評価をしながら改善点や改良点を確認し、再び管理計画を練り直します。
床ずれの傷と同じく、栄養管理は長期的間接的な褥瘡治療方法といえます。栄養状態がよくなれば体内循環もよくなり、傷の治癒力が向上します。身体維持や人間としての活動性という観点からも、栄養状態を良く保つことを常に意識しておきましょう。