年をとると、肌の乾燥が進みやすくなります。肌がかさついて乾燥状態が長くなれば、ほんのわずかな刺激や摩擦によって肌が傷つき、障害を起こしやすくなってしまいます。
このような肌トラブルも床ずれを起こすきっかけになってしまうので、特に寝たきりの高齢者はスキンケア対策をしっかり行いましょう。
○床ずれをおこす高齢者の肌状態
加齢とともに、皮膚の表皮や角質層は薄くなっていきます。粉を吹いたように肌がめくれ、いわゆる「ドライスキン」の状態が起こります。刺激に対して肌がもろくなってしまい、肌がめくれて床ずれを起こしたり、感染を引き起こしたりしやすくなってしまうのです。
●高齢者の皮膚表面は
年と共に、表皮の保湿因子が少なくなってしまうため、皮膚の弾力が失われてきます。寝ている姿勢から寝返りをうつときや、日々の生活で体勢を変える拍子に、皮膚が突っ張られて、ぱっくりと割れてしまう事もあります。
保湿因子が少なくなる上、皮脂分泌も減少し、肌水分が蒸発しやすくなってしまうと、肌の細胞に隙間が生まれ、外的刺激に対してもろくなってしまいます。
○床ずれから高齢者の肌を守るには
高齢者の床ずれを防ぐためには、乾燥した肌の状態を緩和してあげる事が大切です。ドライスキンを改善するためにはまず保湿を一番に考えましょう。
●床ずれ防止のためにしなやかな肌状態を
外的な刺激に強い肌を作るためには、皮膚の表面をやわらかくして、刺激に強い肌を維持する事を心がけましょう。
肌の角質層に十分な水分を与え、その水分を閉じ込めるように表面を覆ってあげる機能を持つ保湿剤を使ってドライスキンを解消しましょう。
●床ずれを起こしやすい部分のスキンケア
寝たきりの高齢者は、布団にこもる湿気やオムツの使用など、環境に合わせたスキンケアが必要になります。
保湿を心がけるといっても、過剰な湿潤状態になってしまうと反対に皮膚を脆弱にします。皮膚がふやけた状態となりやすい臀部や股関節まわりは、皮膚のかぶれを起こさないようなスキンケアと清潔な状態を保つ事が、床ずれ予防につながります。
●床ずれ防止に役立つ皮膚保護材
ドライスキンまたは過度な湿潤を防ぐために、皮膚保護材を活用しましょう。姿勢を大きく変える事ができない高齢者は、特にずれ力で起こる皮膚障害に注意しなければなりません。
皮膚保護材を使うと、床ずれで損傷した皮膚や骨突出部分の薄い皮膚部を保湿しながら、損傷の防止効果も得られます。
ドライスキンを保護するために、クリームや軟膏で肌の保湿を行うのが一般的ですが、その使用感が気になる、べたべたして気持ち悪いと感じる高齢者もいます。保湿が必要な人の好みに合わせてスキンケアを行うという事も、床ずれ予防にとって大切な事です。
介助が必要な高齢者は、自分ひとりでスキンケアを行う事が難しくなります。清潔・保湿を心がけて、床ずれをおこす原因となる「ずれ力」に強いスキンケアを心がけましょう。
参考文献 「はじめての褥瘡ケア 見る 看る わかる ポイント50
切手俊弘 著 株式会社照林社 2013年発行