褥瘡がおきやすい原因は リスクを回避し予防につなげる

体が動かしづらい人は、安静な状態で過ごす時間が長くなります。いすに深く腰掛けたまま、またベッドの上で座ったり体を横にしたりして、楽な体勢で過ごすほうが体に負担がかからないと思われがちです。


身体の疾患がもとで、動く範囲に制限があることもありますが、同じ姿勢をとり続けていると、からだの局部に褥瘡が起こりやすくなります。
安静に体を休めている姿勢だからこそ、発症しやすいのが褥瘡です。全身各所でおこりやすい褥瘡をどのように回避するか。これが、病床ですごす時間のながい人にとって、欠かすことができない、快適生活のポイントになります。

 
○こまめにリスク因子をとりのぞくこと
同じ姿勢で時間を過ごしている人は、時間の流れに疎く、動くことに抵抗を感じ始めます。からだを動かさない時間が長くなる分、押し付けられている箇所がうっ血、または血流不足をおこし、皮膚表面に水疱や赤みがあらわれます。
この症状が出るまえにケアをする、気づいた異変を放置しない、これらは全てリスク回避のきっかけになります。経過観察と予防を一セットで考えて患者に寄り添いましょう。

 
●おまかせでは不可能なことも 人の手でケアを
患者や要介護者に、四六時中付き添っている訳にもいきませんね。ケアをするための準備や記録、食事の用意に日常の仕事など、特に自宅で介護をしている人は、めまぐるしい時間を過ごしているでしょう。
体圧を分散する寝具(マットレス)や、体位を変えるときも力が要らない「しきこみ用クッション」なども開発されています。
ただ、これらは便利な用具の一つだと考えましょう。体位を容易に変えるグッズや、高性能な福祉用ベッドを持ち込んで生活をしていても、任せっきり・頼りきりではいけません。
体の異変に気づくために必要なのは、人の目であり、体を触る感触であり、人が持つ感覚です。機械や用具を上手く利用しながら、愛護的にケアをする事が、なにより患者の心の健康や、やる気につながるでしょう。

 
○食事も褥瘡予防の一環 タンパク摂取でリスク回避
健康な体を維持するために、必要不可欠なのが栄養です。基礎体力を保ち、体を動かすパワーと骨や筋肉、内臓を動かすためには、その時々に応じてきっちりと必要な栄養素を体に取り込むことが大切です。

 
●皮膚細胞を元気に保って褥瘡に強い体を
加齢とともにしわが多くなった「枯れ皮膚」の状態は、移乗や体位変換のずれ力による影響を大きく受けやすくなります。そこで、肌に水分と弾力を与え、外的なリスク要因から守る体作りを心がけましょう。
体細胞の多くはたんぱく質を基にして作られます。皮膚を丈夫にして、細胞形成をするために、たんぱく質を多く摂取することができる食事の方法やメニューを考えましょう。
褥瘡のリスクは、皮膚のハリや弾力である程度防ぐことが可能です。しかし、体内に取り込む栄養全てが、肌のために使われるわけではありません。
肌の刺激を抑え、保護するためにも、保湿クリームでバリア力を高めて、皮膚の乾燥を防ぐケアを行いましょう。肌細胞に水分が十分行き渡ると、ずれや圧迫による褥瘡リスクを軽減することができます。
定期的な人の手によるケアと、目で見る観察、そして肌環境を整え、栄養を十分に摂る。これが褥瘡の発症リスクをおさえる第一段階で、しかも必須のリスク回避方法といえるでしょう。